逃げちゃダメだ。
そう、子供達に伝えたいと、ラジオの向こう側で言っていた。
なんてことだと、俺は思う。
何故、逃げてはいけない?
誰が決めたのだ?
その言葉はとても力強く、甘美な響きをともなって人々を魅了する。
説得力を伴う言葉だったが、俺は嫌いだった。
どんな困難にも、正面からぶつかり克服する。
それができない奴は、落ちこぼれだ、ということだ。
それは断じて違う。
逃げても良いのだ。
世の中、こめかみに血管を浮き上がらせ、努力だ成功だと連呼する人間達ばかりではないのだ。
何が必要か。
何を捨てるか。
何を大切にするか。
先ずはそれを考えるべきだ。
必要であれば、さっさと逃げる事も、恥ではない。