こんな夢を見た~猫で作ったハム | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

こんな夢を見た~猫で作ったハム

夢はカラーですか。


夢は白黒ですか。


夢は、夢とわかるような絵空事ですか。


夢から、もしも醒めなければ、


それが現実として受け止められますか。


ひょっとすると、


実は全てが、夢なんじゃないですか?



人は死ぬことで、本当の夢から目覚めるのです。



「ああ、なんて酷い悪夢なのだ。夢でよかった」






俺はある晩、こんな夢を観た。


露店が無数に建ち並ぶ、晴天の海辺に俺はいた。


屋根もない、テーブルだけの露店に、ハムがアルミ製のバットに並べられている。


並べられたハムの異常さに、俺は即座に気付いた。


ハムは全て円筒形で、魚肉ソーセージのような色をしていた。


ひもで締め上げた跡なのだろうか。


芋虫のように、等間隔に節のような凹みがあった。


異常なのは、円筒形の全てのハムの断面に、顔が張り付いていた点だ。


犬の顔。


猫の顔。


思い出せないが、ほかの獣の顔。


顔たちはみな目をつぶって、押し黙っている。


死顔だ。


「気色悪いなあ。だれがこんなもん喰うんだよ」


俺は呟いていた。


ハムの山の中の、一つ。


猫の顔をしたハム。


微かに動いたような気がした。


俺は戦慄した。


顔がゆっくりと動き、口元が開いた。


唾液が糸を引いている。


目は閉じられたままだが、芋虫のような体、いや、ハムが微かに蠕動する。


猫の顔は苦悶に満ちている。


ゆっくりと絞り出すように、猫はにゃ~と、小さく鳴いた。


俺は衝撃で、目覚めた。



これは江戸川乱歩の「芋虫」だな、まるで。


俺は目覚めてから、思った。


戦争によって、手足を切り落とされた軍人。


軍人を性の道具として弄ぶ婦人。


しゃべることも出来ない軍人は、自分の要求がかなわないと、


猛烈な勢いで、独楽のように廻る。



それが唯一の意思表示だった。



その様子を見て、婦人は肉独楽と呼んだ。




俺はふと思った。


俺は、この家の中では、芋虫同然だな、と。


もっとも、


相手にされない、孤独な芋虫だが。




日々を生きる。~妻よ。おまえはいったい何を望んでいるのか。
時間があったので、夢で観た猫のハムの絵を描いてみました。

(へたくそだなw)





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