頭痛~5DAYS | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

頭痛~5DAYS

薬を飲んでも、頭痛は消えなかった。


今日で五日間、痛みは続いていた。


おかしなことになっている。


俺の脳みそはどうなってしまったのか。



医者に行きたいところだが、金がない。

(カードが使える病院があればいいのだが)


痛みに耐えるしかなさそうだ。


金をくれと、娘の母親に、言いたくはなかった。


金やその他。


俺が何かを要求したときの、娘の母親のツラ。


ゴキブリか、汚物か何かを見たときのような、不快感を露にしたツラ。


あのツラを見ると、殺してやりたくなるくらい腹が立った。



俺はまだ、刑務所には行きたくはなかった。



そう。


今の生活自体が、すでに監獄だった。




昨晩もそうだったが、ひどい頭痛のせいで、晩飯すら食えない日が続いていた。


それでも、食欲はなかった。



今朝。


目覚めると、娘の母親が、DVDの教材を見ている気配が俺の部屋にまで伝わってきた。


ステップ運動の器具を使いながら、お勉強のようだ。



のんきなものだ。



暖かい部屋で、


温かい飲み物を飲みながら、


好きなものを作って、


好きなものを食って、


好きなことをして。



俺は布団から上半身だけを起こすと、しばらくじっとしていた。


吐く息が、白かった。


ここは、部屋の中だよな?


外と変わらない気温なのか?


頭痛と、風邪特有の関節の痛みと、けだるさ。



そんな中、俺の中で何かが揺らぎ、急に涙があふれ出してきた。



どうして泣いているのか。


自分でもわからなかった。


とめることもできなかった。



ひとしきり嗚咽すると、涙は枯れた。



俺は布団から身を引き剥がすと、


キッチンへ行って、水を一杯飲んだ。


頭痛のせいで、食欲はなかった。


たとえ食欲があっても、食い物など、どこにもなかったのだが。





車のライトが、片方切れてることを、俺は思い出し、



俺はカー用品店へ行った。



電球をひとつカードで買い、自分で球を交換した。


それだけの作業なのに、ひどく疲れてしまい、車の中で横になり、体を休めた。



頭痛がひどくなりそうだった。



外は、晴れ渡っていたが、風が冷たかった。


やたらと寒気がして、俺は風邪をひいているのだということを、思い出した。



ルームミラーに視線が行った。


小さなキーホルダーが、揺れている。



父が他界したとき、父の車に、同じようにして揺れていたものを、


俺は自分の車にぶら下げた。



俺のお守りだった。



目を瞑った。


感傷的な気分には、ならなかった。



どうしようもない、絶望感。



バイトも、


仕事も、


娘の母親も、



すべてを捨てて、




逃げ出したかった。




俺は目を開け、微かに揺れるキーホルダーを見やる。



そうだよな。



この世に、


逃げ場なんて、ありはしないのだ。





そう。



そっち側に、行く以外は。




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