最近観た夢三編~第二編 「夢の中の、奇妙なカーディーラー」
一編の夢を見た後、俺はまた眠りに落ちた。
そして、その日の深夜、俺は二度目の夢を見た。
一台のセダンに、定員一杯の人。
俺は助手席だった。
運転している人間が誰で、後部座席の三人が誰かもわからなかった。
ひょっとしたら、俺の家族かもしれないし、親類、または友人なのだろう。
俺は、そのことをさして気にかけてはいない。
知ったことか、という感じだ。
車の車窓から見える光景は、明らかに都市部のものではなかった。
田園風景に、まばらに住宅が見える。
どこに向かって走っているのかは、わからない。
そこへ行けば、良いことが待っている。
そうした、漠然とした希望を感じながら。
とにかく気分が良かった。
郷愁?
夢はいつだって、俺を優しく包み込んでくれる。
ドライブが続き、休憩のために、車は何故かカーディーラーに立ち寄った。
かなり有名な観光名所らしく、我々のような観光客?も立ち寄るのだろう。
駐車場は、来客者の車で一杯だった。
おかしなカーディーラーだった。
水田だらけの場所に、かなり大きい、五階建てのビルがぽつんと屹立し、
その異様さが際だっていた。
車を止めると、大きなポスターが壁に張り出されていた。
縦長のそれには、何台もの車が上から順に並んでいる。
それはまるで、車の進化図を模しているかのようだった。
全ての車は、黄色に塗装され、上の方はクラッシックカーで、
下に来るほど洗練され、新しくなっていく。
車種などわからなかったが、下から二番目の車はわかった。
ホンダのシビックだった。
そして、一番下の車が新型車なのだろう。
その車は、驚くほどミニに似ていた。
店の入り口には、スチール製のデスクが並べられて、いかにも、
田舎のディーラーといった感じだった。
事務員が出迎えるすぐ横には階段があり、客はまずその階段を上がるようだった。
二階へいくと、そこはギャラリーだった。
一階とは比べものにならないくらいモダンな作りだった。
現代美術というやつなのだろう。
意味不明な彫刻や絵が、フロア一面を飾っていた。
こんな展示が、車のセールスにどう結びつくのか。
筆をとっている今は、不思議でならないが、夢の中では疑問などわかなかった。
次の階は、ゲームらや、駄菓子やらを売っているスペースだった。
導線は、一度屋上に出てから、階下に下るようになっている。
来客者は、屋上でのどかな田園風景を眺めたり、煙草を吸ったりして、一休みする。
一番最後、出口の前で、焼きそばとお好み焼きの屋台があった。
500円。
どちらかを買う。
それが決まりらしい。
詐欺じゃないか。
買わないと、店からは出られないのだ。
俺は夢の中でも金を持っていなかった。(全く驚いたことに)
同乗した仲間の一人に、お好み焼きにすると伝える。
すぐに、お好み焼きのパックを持って、女が俺のところへやってくる。
おや?
こいつは、誰だっけ?
何となく、俺の娘の母親に似ているような気もする。
しかし、違う女だった。
女は、俺にお好み焼きを渡すときに、皮肉な笑みを漏らした。
そのとき俺は、ああ、こいつは、俺の娘の母親が化けているのだなと、確信した。
それは俺にとって、衝撃的なことだった。
俺はそのショックで、目を覚ました。
あ~あ。
夢の話なんて、つまらないですよね?
実際、この夢は、おもしろくも何ともない。
書かなきゃ良かったか?
これはもう、俺の夢日記でしかないな。
読者の皆様、申し訳ありません。
