空も、俺を笑ってる。
空が割れていた。
遙か前方に望むその光景は、まるで、空に出現した地平線だった。
暗雲が引き裂かれ、そこから、日の光が差し込んでいる。
白と黒のコントラスト。
その悪魔的な光景は、この世の終焉を予感させた。
人々は何故、「滅び」に魅了されるのだろうか。
1999年に、人類は滅亡すると本気で喧伝する輩がいたが、結局は何も起きなかった。
またしても、彼らが熱狂するときが来るだろう。
今度は、2012年だ。
俺は、空を見続けていた。
不穏な空模様だった。
雲の動きに、魅入られていく。
ゆっくりと、何かの意図を持ったかのように、雲があるものを形作っていった。
……。
……?
俺は、雲に視線を固定したまま凝然となった。
雲が形作ったもの。
それは、顔だった。
俺を嘲笑しているのか?
俺はその顔を、携帯のカメラを起動させ、撮った。
