詩 「金魚のえさ」
金魚ちゃん。
今日も元気かな?
この家の誰かが、えさをやってるんだよね?
僕は君たちの世話係じゃないんだ。
ごめんね。
君たちは、僕がキッチンでご飯を食べていると、
みんなして僕を観て、口をパクパクさせているよね?
おなか空いてるの?
だから、僕は時々、えさをやったんだ。
君たちが、あまりにもおなかを空かせているようだから。
「えさをやり過ぎると、水が濁るのよ」
とあいつが言っていた。
ほんと、いやなヤツだよね。
大丈夫、僕が君たちに、こっそりとえさをあげるから。
ある朝。
一番小さな金魚が、水槽の底に沈んでた。
おなかの部分を、ほかの金魚に食べられて、白くなって。
なんてことだ。
僕は、えさを水槽に入れた。
金魚たちは、狂ったようにえさに食らいつく。
水は濁り始めている。
僕は死んだ金魚をそのままにして、自分のえさを探した。
キッチンを歩き回り、
冷蔵庫を開けて。
そして、
僕のえさは、どこにもなかった。
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