瞬く、星 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

瞬く、星

眼が醒めた。

そして、バイトだった。



その日の晩は、帰宅するなり、布団に潜り込んだ。

薬を飲んでも、頭痛は消えず、食欲もなかった。

というか、俺の分の夜食などなかった。

飯と風呂と洗濯などなど。

飯がなくて、良かったとも言えた。

それらに費やす時間を、睡眠に当てることが出来たからだ。



俺は目覚めると、バイトへ向かった。

外はまだ暗い。

仕事が始まる三十分前に、バイト先の駐車場に着いた。

10分だけ眠り、職場へと向かうことにした。

いつものことだった。

時間ギリギリというのが、大嫌いだった。

どんなつまらないことでも、余裕を持ちたかった。

しかし、

眼を閉じてみても、眠ることが出来なかった。


空が微かに、明るくなり始めている。

正面に、やたらと明るい星が輝いていた。

俺はその星を、ぼんやりと眺めていた。

不思議な事に、その星は、明滅していた。

強く光ったかと思うと、途端に暗くなった。

どう見ても、星にしか見えなかったが、見続けていると、微かに動いているようにも見えた。

なんなのだ。

眼の錯覚か。

俺はそのとき、眼を見開いた。

星の光が徐々に収束し、完全に消えた。

やはり、星ではない。

星であるはずもなかった。


飛行機か。

人口衛星か。

それとも。


そんなことを考えていると、また、強く輝き出した。

……?

俺は首を傾げた。


どうみても、星にしか見えないのだ。

しかし、

微かに動いている、

ような気がする。

俺は幻覚を見ているに違いない。


そして頭痛。

俺は、薬を飲んだのか。


この痛みが延々と続くならば、俺はどうなってしまうのか。


そう。


答えは既に出ていた。

痛みから逃れる、唯一の方法を。