勝手に処分される、父の形見
へとへとだった。
俺は帰路。
車を運転していた。
10時間以上働き、更にちょっとの睡眠の後、
またもやバイトがあるのかと思うと、もう、うんざりだった。
仕事を終えて、玄関を開けた。
目の前の光景に、俺は目を見張った。
ビデオデッキとDVDプレーヤーが廊下に積み上げられていた。
DVDプレーヤーは、リモコンが壊れたと言っていた。
つまりは、使えなくなったゴミと言うことだろう。
DVDプレーヤーは、映画好きだった父が買った物で、値打ち物だった。
リモコンを修理すれば、まだまだ使えるはずだろう?
俺にとっては、父の形見の品でもあるのだ。
ビデオデッキだってそうだ。
居間と和室は、俺の娘の母親と、娘の場所だった。
そこに、俺と関わりのある品が今まであったと言うことが、奇跡だった。
娘がDVDを見たし、ビデオも見た。
だから、これらの品は、そこに居続けることが出来た。
しかし、壊れてしまえば、話は別だった。
その時点で、ただ汚らわしいもの、に変わる。
そう。
俺が使っていたもの。
俺の家族が使っていたもの、だから。
俺はいやな気分になりながら、キッチンへ向かった。
そして、更に気分が悪くなった。
空腹だった。
しかし、食い物は何もなかったのだ。
睡眠時間を削って、飯を作り、風呂に入る。
いや、風呂になど入れなかった。
そんな時間など、あるわけがなかった。
俺は仕方なく、飯を作ることにした。
思考能力も、
何かをする力も、
自制心も、
なくなっていた。
体が震え、俺は叫んでいた。
「くそったれが!」
俺の娘の母親と、娘は、すでに就寝中だ。
怒鳴ってしまうと、我に還った。
娘が起きてしまうのではないかと、気にかかった。
しかし、
物音一つ聞こえなかった。
俺は気を取り直し、タマネギを刻んだ。
隣のヒットマンという映画 ↓
とんでもない妻が、保険金目的で、夫殺しを殺し屋に頼むという話。
どうしようもない、極悪な妻が登場する。
母親と二人、夫の死を笑いながら願うシーンに戦慄を覚える。
実は、この映画はコメディーだった。
こんな夫婦はいないと、ポップコーンを食べながら、笑い飛ばす映画なのだ。
しかし。
俺は笑えなかったよ。

俺は帰路。
車を運転していた。
10時間以上働き、更にちょっとの睡眠の後、
またもやバイトがあるのかと思うと、もう、うんざりだった。
仕事を終えて、玄関を開けた。
目の前の光景に、俺は目を見張った。
ビデオデッキとDVDプレーヤーが廊下に積み上げられていた。
DVDプレーヤーは、リモコンが壊れたと言っていた。
つまりは、使えなくなったゴミと言うことだろう。
DVDプレーヤーは、映画好きだった父が買った物で、値打ち物だった。
リモコンを修理すれば、まだまだ使えるはずだろう?
俺にとっては、父の形見の品でもあるのだ。
ビデオデッキだってそうだ。
居間と和室は、俺の娘の母親と、娘の場所だった。
そこに、俺と関わりのある品が今まであったと言うことが、奇跡だった。
娘がDVDを見たし、ビデオも見た。
だから、これらの品は、そこに居続けることが出来た。
しかし、壊れてしまえば、話は別だった。
その時点で、ただ汚らわしいもの、に変わる。
そう。
俺が使っていたもの。
俺の家族が使っていたもの、だから。
俺はいやな気分になりながら、キッチンへ向かった。
そして、更に気分が悪くなった。
空腹だった。
しかし、食い物は何もなかったのだ。
睡眠時間を削って、飯を作り、風呂に入る。
いや、風呂になど入れなかった。
そんな時間など、あるわけがなかった。
俺は仕方なく、飯を作ることにした。
思考能力も、
何かをする力も、
自制心も、
なくなっていた。
体が震え、俺は叫んでいた。
「くそったれが!」
俺の娘の母親と、娘は、すでに就寝中だ。
怒鳴ってしまうと、我に還った。
娘が起きてしまうのではないかと、気にかかった。
しかし、
物音一つ聞こえなかった。
俺は気を取り直し、タマネギを刻んだ。
隣のヒットマンという映画 ↓
とんでもない妻が、保険金目的で、夫殺しを殺し屋に頼むという話。
どうしようもない、極悪な妻が登場する。
母親と二人、夫の死を笑いながら願うシーンに戦慄を覚える。
実は、この映画はコメディーだった。
こんな夫婦はいないと、ポップコーンを食べながら、笑い飛ばす映画なのだ。
しかし。
俺は笑えなかったよ。
