詩 「傘」 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

詩 「傘」

恋人から差し出された傘のおかげで、わたしは今まで雨風を、凌いでこれた。

傘の下で豊かさを謳歌した時期もあったが、今はとんでもない事になっている。

恋人は、どうやらわたしを捨てる気らしい。

君を守る、と約束はしたが、何かあったら、傘を引っ込めるに違いなかった。

今までのわたしは、傘の下で、他の心配をしていればそれでよかった。


着るものとか。

明日の朝食の事とか。

仕事の事とか。

住むところとか。

老後の貯えとか。


しかし。

そんなことで、本当にいいのでしょうか?

傘を無くし、ずぶ濡れになって、

服も、

自尊心も、

勇気も、

優しさも、

台無しになってしまったら?


わたしは、自分の傘を持つべきなのでしょう。



そして、




わたしの、国も。