詩 「最初に好きになったのは」
最初に好きになったのは、あなたの言葉だった。
あなたに逢ったことは一度もなく、容姿すら知らない。
それでもあなたが好きだった。
髪の長さは。
目の色は。
背丈は。
痩せているのか。
それとも、太っているのか。
笑うと、えくぼはできるのか。
怒った顔はかわいらしいのか。
心が、言葉になった。
言葉は、心だった。
発せられた言葉がデータ化され、ネットを駆け巡る。
サーバーに保存され、あなたの心の一部が複製される。
わたしは、あなたの言葉が好きだった。
あなたは雄弁に語った。
あなたは慈愛に満ちていた。
あなたはとても強かった。
もしも、原子の光が地表を焼く尽くそうとも、
地下室に眠るサーバーは永遠に稼動し続けることだろう。
100年。
それとも、1000年?
あなたは永遠に生き続ける。
ネットの中の、何の感情も伴わない電子の流れの中で。
コメント数が増え続ける。
無数に張り巡らされるトラックバック。
時が流れ、
あなたとわたしがこの世から消え去った後。
あなたは新たな言葉を紡ぎ出した。
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