くそったれ!バイト | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

くそったれ!バイト

くそったれが。

最初に思ったのはそれだった。

これだけの仕事量を、そんな短時間で出来るはずはなかった。

それは、普段の半分の時間で仕事を終わらせる事を意味していた。

俺は社員とよばれる若い指示者に聞き直した。

「一人で、その時間までに終わらせるんですか?」

「はい」

「……」

冗談だろう?

俺は我が耳を疑った。

もう一度、若い男に聞き直した。

男の目は、どこまでも誠実だった。

「二人作業の場合ですよね?」

「ひとりの場合も、いっしょですよ」



俺は作業を開始した。

肉をぶった切る機械のメンテナンス。

山と積まれたゴミの片付け。

とんでもない量の、使える肉とそうでない肉を分類し、計量し所定の場所へ積み上げる作業。

まな板の洗浄などなど。

俺は、いっしょに働くバイトの兄ちゃんに、愚痴ってみる。

「この作業、ひとりで、○○時までに終わります?」

「ああ、一人じゃ無理ですね」

「ですよね」

肉の量も少なかったし、途中から兄ちゃんも手伝ってくれたので、予定時間の十分オーバーで作業は終わった。

社員とよばれる若者に、次の作業の指示を受け、俺は準備に取りかかった。


十分オーバーについて、咎められる事もなかった。