飽和状態だった、こころ | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

飽和状態だった、こころ

バイトから帰ると、自室に茶碗やコップや箸が投げ入れられていた。


バイト前に急いで食事をして、洗うことができないまま、シンクに置き去りにしていたものだった。


ちゃんと洗え。


妻が態度で示しているのだろう。


釜に残った飯を生卵で流し込み、汚れた食器をまとめて洗った。


風呂に入る気にもなれずに、その後すぐに布団へ潜り込んみ、簡素な一日を回想した。


今日も、よい一日だったと、思う。


何故かそうつぶやいている自分が、少し滑稽に思えた。





睡眠時間は1時間半くらいだった。



午前七時。


すぐに飛び起き、家を出た。


仕事に行くわけではなかった。


そのまま竹林を見渡せる駐車場へ直行する。


俺がそのまま家に居る訳にはいかなかった。


娘を迎えに、幼稚園のバスがくるからだ。


主人が家にいる。


そんな異常事態は、妻にとって恥以外のなにものでもなかった。



駐車場で、たまった求人票を整理した。


丹念に、一枚いちまい見ていった。


応募するものとしないものに分けてゆく。


求人票の束を分ける手が、止まった。




不意に、感情が堰を切ったように、あふれ出して来る。


束になった求人票に、染みが転々と散らばった。




涙が止まらなかった。




嗚咽。



なさけないぞ。


泣いてる場合か。


みっともねえよ。


こんちくちょう。



ひとしきり号泣して、俺は自分を取り戻した。




涙が引いた後、何故か気持ちが軽くなっている。




泣いてる暇なんてないんだよ。




自らを奮い立たせる虚勢を吐いて、俺はそのまま、職安へ車を走らせた。