結婚
とにかく結婚せよ。
もし君が良い妻を持つならば幸福になるだろう。
もし君が悪い妻を持つならば哲学者になるだろう。
by ソクラテス
ソクラテスの妻は歴史上名高い悪妻だった。
夫に水を浴びせる。
公衆で夫の服を剥ぎ取る。
今朝方、妻に、両親の神棚に供えたコップの水を、顔に浴びせられた。
コップは無惨にも、布団の上に打ち捨てられ、割れずに水の染みをつくった。
それでも、ひるまなかった。
話すきっかけをただまった。
愚弄。侮蔑。
いつまでも、続いた。
話が途切れたので、俺は一言しゃべった。
それを、妻は徹底的に否定した。
その中で、どうにもがまんがらない事を言われたので、俺は声をあげた。
「それとこれとは関係ないだろう!!」
妻は更に俺の言葉を否定し、時間の無駄だと、捨て台詞と共に、きびすを返した。
ソクラテスは言った。
妻とつきあっていれば、どんな人ともうまくやっていけるはすだ、と。
俺は不遜でぞんざいな、こんな妻とつきあっていけるのだろうか。
つきあっていければ、こうはなっていなかっただろうと、思う。
ソクラテスには、ダイモンがあった。
俺には、拠り所となる信仰など、なにもなかった。
それでも、つきあっていく。
このままで、終わりたくはなかった。
地面に顔を押しつけられながら、言う事でもないのだけれども。
最後にもうひとつ、ソクラテスの言葉を記して締めくくる。
結婚をするべきか、結婚しないべきか。
どちらを選ぶにしても、後悔するだろう。
by ソクラテス