バレンタインデーの想い出
小学生のころ。
自分が周りの友達と違っているのではないか、という思いがあった。
俺が思うところ、同級生はみな、涼しげな目元、顔立ちをしていた。
俺自身は、どこかバタ臭い容姿に、背も低く、おまけに色黒だった。
どう考えても、周りから浮いた存在だった。
それは密かなおもいで、そんなことに悩むほど、その当時のおれは、屈託もなかった。
自分らしく振る舞うことの出来た、数少ない日々であったと思う。
バレンタインデーだった。
俺はそんなものに頓着するような子供ではなかったと思う。
その日も、普段と変わりなく、くだらないジョークでクラスメイトを笑わせたり、女の子のスカートをめくったりしていたはずだ。
だから、女の子には、多分嫌われているだろうと自分では思っていた。
運動も勉強もそこそこで、おまけにちびで色黒。
チビ黒サンボなどと呼ばれ、それでも快活であったためか、そこそこ目立つ存在ではあった。
どことなくうわついた教室の空気に、鈍感な俺も、特別な日だと言うことがわかった。
放課後、ランドセルを開けると、チョコレートが入っていた。
俺は歓声をあげた。
クラスメイトが集まってくる。
Mも同じだった。
Mはクラスの中のヒーローだった。
長身で運動神経の良いMは、だれが観ても、明らかに輝いていた。
誰が一番多くチョコレートをもらったかと言うこをクラスメイトが騒ぎ立てた。
10個。
数えてみると、Hと俺のチョコレートのの数は同じだった。
今考えても、釈然としない。
何故、俺はその当時、そんなにもクラスの女子の耳目を集めていたのか。
それ以後、俺が歓喜することは、なかった。
しかし。
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