食い扶持 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

食い扶持

前回 食卓の思い出=笑いの王様 の続き



翌朝。



まだ暗いうちに、先日メールで言われた事 と同じ内容のことを、今度は直接浴びせられた。



身体が震え、それでも黙って妻の話を聞いていた。




じっと目を閉じていると、また、この世から消えてしまいたい衝動に駆られた。






唯一の解決方法は、俺が死んで、ローンが相殺される。


それ以外にないのではないか。


妻の話を聞いていると、俺に死んでほしいと言っているようにしか聞こえなかった。


ひとしきり喚き倒すと、妻は立ち去り、室内は静寂に包まれた。




仕事のことを考えると不安だった。


どうなるかまったくわからない。


明るい見通しなど、まったくないのだ。


かといって、配転希望が通らないと決まったわけではなかった。


会社にうまいように、してやられている。


そんな気がしてくる。




このような状態では、新しい仕事やバイトを探すことも、出来はしなかった。


いっそのこと、解雇された方がましではないか。




なさけない。


本当に情けなかった。





目を閉じていると寝てしまったようだ。



わずかな間に、夢を見た。



父と母が目の前に現れた。



昔住んでいた家に、昔のままの光景。



食卓だった。



母だと思っていた相手の顔が、いつの間にか妻に変わった。



それでも俺は、母として対峙している。



母が何か言っているようだったが、よくはわからなかった。



父は無言だった。



そして、目が覚めた。


俺は布団を跳ね上げ、身支度をし、家を出た。


コンビニを周って、スタッフ募集の張り紙を見て回り、電話番号をメモしていった。



一刻の猶予もない。


背に原はかえられなかった。