正気の沙汰~夢の中のおっさん。
バイト先のおっさんが、昨晩の夢に出てきた。
夢の中のおっさんが普段とは正反対に、やけに明るく何かを言いながら、俺の頭をつかんで、ガシガシやった。
いい加減にしなよ。
俺は笑いながら言う。
俺は、おっさんが嫌いではなかった。
おっさんはいつも仲間内から蔑まれ、揶揄されていた。
それでも、おっさんはいつもマイペースで仕事をこなす。
一度仕事帰りに、おっさんが一人寂しくファーストフードで食事をしているのを見たことがあった。
おれも、いっしょだわな。
そのとき俺は思ったのだった。
俺たち、三人でどこかに行く。
三人。
いつの間にか一人増えていた。
もう一人も、おっさんだった。
誰だったか、忘れた。知ってるおっさんだということはわかった。しかし、名前はわからない。
何処へ行くのか?俺たち三人は、ふらふらと歩き続けた。
居酒屋らしき軒先からは灯りが漏れていた。
俺はおっさん二人に挟まれ、得体の知れない町並みを歩いている。
薄暗い、物音一つ無い古びた町並み。
ジメジメとしていて、腐臭が漂ってきそうな猥雑な裏路地。
おっさん、飲んでるな。
おっさんの常軌を逸した明るさに、おれはそう結論づけた。
もう一人のおっさんは、静かだった。
今日はバイトなのか?
おっさんたちと一緒にいる理由が、わからなかった。バイト以外では会うことはない。だからバイトなのだろう、か?
疑問がわき上がり、虚構なのだと悟った瞬間に、目が覚めた。
おれは、不吉なものを感じだ。
おっさんは、死んだかもしれない。
俺に、最後の別れを告げにきたのだ。
俺は何故かそう思った。
おっさんは、体調が良くなかった。ぼろぼろの体で、最近はよく休んでいた。
おっさん………。
大丈夫かな?