くそったれ!!
本屋のトイレ。後ろで何度もノブをまわす音がする。
無視した。しかしその音は止まなかった。いつまでもノブをガチャガチャ。
ん? 馬鹿じゃねえのか?カギがかかってるだろうが!入ってるんだよ!
さらに、ノブを執拗にガチャガチャ。
クソッタレの馬鹿ヤロウが!
俺は振り返らずに、おもいっきり後ろのドアをけり飛ばした。
ドン!
それで静かになった。
すぐにトイレを出て、ばか者の姿を探した。
それらしき、男の姿はどこにも無かった。
今日は妻に話さなければならないことがある。
ここ一週間、話すに話せなかった。
妻の利害とも一致する、もともと、妻が言い出したことだった。
あんた、このままでいいの?
無理だと決め付けずに、やってみるという気概は無いの。
そんなことを、言われた気がする。
しかし、気になることもあった。
事を始めるには、まず金が必要なのだった。
そして、その金はどこにも無い。
そのまま、ハンバーガーショップへ直行した。
妻と対峙する事を、少しでも遅らせたいのかもしれなかった。
自然と足は、家から遠のく。
本を読もうという気も起きなかった。
二つ。バーガーを腹に詰め込んだ。
包み紙を丸め、ナプキンで口を拭うと、何もすることが無くなった。
主婦らしき4人組が、それぞれ携帯を弄びながら会話をしている。
気分を取り戻さなくては。
こんな気分では、手強い相手を説き伏せることはできないだろう。
いや、そもそも、説き伏せるほどのことなのだろうか。
案外、あっさりと承諾するかもしれない。
問題は、その後だった。
ふと思いたって、ノートを取り出す。
そして俺は書き始めた。