金、金、金。
朝、寝床から這い出すのと同時に、金を出せと妻に言われた。
昨晩は、深夜のバイト終えて4時に帰宅し、風呂やその他の雑事で、布団に入ったのが5
時、睡眠時間は2時間弱だった。
7時に起きて、15分後には家を出なければならない。
バイト代は、前回働いた分が支給されるシステムだった。
妻が言っているのは、その金を出せということだった。
悲しくなるほど、僅かな金だった。
それでも、無いよりはましなのだ。
あなたとは、生活のためだけに一緒にいる。
妻は臆することなく、平然と言ってのける。
俺は思った。
もしも、経済的に余裕があったなら、妻との関係性はどのような形になっていただろうか?
おそらくは、何も変わりはしなかっただろう。
今度は、さらに上の家庭と比べ、うちに無いものを並べ立てられるだけだ。
俺は鞄から、二つ折りにされた封筒を、テーブルの上に置いた。
そのまま弁当を持って、家を出た。