後ろめたさ
朝、突然、妻が帰宅した。
それは予想外のことだった。
娘がこちらに来て、ひざの上に座った。
妻は娘の弁当を作っているようだった。
すぐに台所で物音がした。
何か、物を叩きつけるような、いやな音。
そして、なにか文句も言っている。
それだけで、恐怖だった。
何に対しての、恐れなのか。
罵倒されるという恐怖。
多分、そうだ。
ガタガタ言って来たら、怒鳴り返してやる。
昨夜、そう思っていたが、その気持ちもすっかり萎えていた。
それに、この後ろめたさは、いったい何なのか。
妻が食事を作り、俺はないもしないで娘と遊んでいるからなのか。
何かやらなくてはならないことはないのか。
すぐに見つかった。
俺は犬を連れて、散歩に出かけた。
ひと回りして帰宅すると、妻と娘はすでに出掛けていた。
俺は台所で、皿を洗った。
テーブルに置いてあったはずの、叔父からの贈り物。
それがなかった。
妻が、どこかに片付けたのか。
そう思って冷蔵庫の中を見たが、見当たらなかった。
部屋を見渡す。
「ふざけるなよ」
俺はつぶやいていた。
ゴミ箱の横に、それは投げ捨てられていた。