限界 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

限界

車に乗って家を出た。

もう我慢出来なかった。

あいつは異常だ。

頭の中で、俺は何度も呟いた。

・・・・・・




家に帰ったら、犬の散歩だった。

俺は逃げるように家を出、ひとしきり近所を回って家に戻った。



家の中には、俺の居場所はどこにもなかった。

何とも言えない嫌な空気。

息苦しい。

時々、物を乱暴に叩きつけるような音がする。


その度、俺は下に向けた顔を上に向けた。

食事の用意にしては、騒がしい。

俺に対する当て付けなのだろう。

それでも、逃げられない。

妻から見えない所にいると、文句だった。

なに遊んでるのよ。

寝室で布団をひいていても、そうなじられた。

だから、雨戸を全部閉め終わると、居間でじっとしている以外になかった。

家の中の仕事は、何もない。

何もしないでじっとしているのは辛かった。

それでも、本などを読もうものなら徹底的になじられる。


しばらくすると、妻が不意に俺の前に現れた。

「こっちは朝から晩まで忙しくしているのに、なんでそんなところでボケっとしてるの。やることはいくらでもあるでしょ。ホント、頭にくるんだから」

何をすればいいと言うのだ。

そう思っていたら、さらに妻は怒鳴り続けた。

「よくそれで、人の作ったものを平気で食べられるわね」

飯すら、喰う資格もないと言うのか。

そう思ったら、もう我慢が出来なかった。









スーパーの駐車場。

家を出たが、どこかへ行くあてもなかった。

財布には、小銭しかない。

真っ先に仕事が気になった。


どうすればいい?

考えても、家に戻る以外、何も思い浮かばなかった。