肉親以外 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

肉親以外

ゴミを出せ。

そんな怒鳴り声で、目が覚めた。


いつまでも寝ていていい気なものだ。

そんな怒鳴り声が、廊下を歩く俺の背中を追ってくる。

さらに容赦なく、怒鳴り声が続いた。

「私はゴミ出しに行きたくないんじゃないのよ。あなたの親戚に遭いたくないだけだから」

俺の親族すべてを、妻は嫌っていた。

こんなの異常だ、近くに親戚がいることでどれだけ嫌な思いをしているのか。

事あるごとに、言われ続けていた。

たとえば、叔父が最近遊びに来ないな、などと言う。

妻は、そんな嫌味をいわれて、誰が遊びにいけるのかと、ひどく憤慨するのだった。


俺もしだいに、親戚との交流を絶っていった。


妻の気持ちも、わからないでもなかった。

一度だけ、妻と二人、近所の親族宅を尋ねたとき、自尊心をズタズタにされるようなことを言われた。

人の気持ちなど、微塵も考えていないような言い様だった。

俺一人のときならばわかる。

何故、妻と訪れているときに、こんなことを言わなければならないのだ。




ゴミを出し、布団を上げた。

冷蔵庫の中にあったものを取り出す。

俺のために作ったものかどうかわからなかったが、それを喰った。





一人でぼんやりとTVを眺めた。


急に、わけもなく涙が溢れ出してきた。

止まらなかった。

なんなのだ。

ひとしきり嗚咽し、それは収まった。


ゆっくりと立ち上がり、俺は汚れた皿を洗った。