うなり声 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

うなり声

娘が唸っていた。


そして笑った。

へんな唸り声だった。

何かのまねをしているのか。

ふとそう思った。

そして、妻を思い出した。


不機嫌なとき、ため息とも唸り声ともつかない声をだす。



「どうしたの、その唸り声は」


俺がそうたずねると、娘は面白がって、また唸った。


傍らには、赤ん坊の人形が横たわっている。


娘は赤ん坊の目を指でさわり、そのたびに目がぐるりと反転した。


「もう寝ようね」


娘に声をかける。

娘は、隣の人形の頭を撫でた後、目を閉じた。