どぶに捨てた、100円玉
本は、ブックオフで買っている。
100円で文庫本が買えるからだ。
古いものならば、ハードカバーも100円で買えたりする。
会社での休憩時間が、俺の唯一、自由な時間だった。
飯を腹に詰め込んだ後、気が向くと本を読んだりする。
そんなことが、小さな楽しみでもあった。
ブックオフで、作家別コーナーを眺めた。
探していたものではなく、別の作家のものが目に留まった。
それを手にして、金額を確認した。
250円。
すぐに100円コーナーへ行き、同じものがあったのでそれを買った。
全く同じものでも、発売された時期によって値段を決めているらしかった。
その足で、100円ショップへ行った。
前から欲しいと思っていた、ブックカバーを買うためだ。
今までは、最初から付いている紙のカバーを裏返して使っていた。
それではいかにも、貧乏臭かった。
普通、本屋で新品を買うと、カバーを付けてくれるのが普通である。
つまりは、古本であると言っているようなものだと、思えなくもなかった。
変な柄のものばかりだった。
単色のもので、なるべく薄いものを探した。
ポケットに入れて、持ち歩くことが多いからだ。
やはり、色が気に喰わなかったが、妥協して一つ買った。
家に帰り、さっそくカバーをつけようとして、俺は愕然とした。
サイズが小さいのである。
ぎりぎりの大きさで、無理に押し込むと、表紙が折れ曲がってしまう。
「いい加減にしろよ」
呟いていた。
新潮文庫から出されているその本が、規格より少し大きいのではないかと思い、角川文庫を取り出し、比べてみた。
僅かに、小さい。
ぎりぎりであるが、何とか折れ曲がることなく収まった。
ほかの出版社のものも取り出して試そうと思ったが、あることに気付いて、止めた。
ブックオフで買ったものは、本のサイドを削ることによって、きれいにしているからだ。
そして、家にある文庫本のほとんどが、ブックオフで買ったものなのであった。
頭に来て、ブックカバーをゴミ箱に叩きつける。
その直後、俺は思い直し、ブックカバーをゴミ箱から取り出した。
何かに使えるかもしれない。
そう思ったのだった。