初恋 2 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

初恋 2

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披露宴が始まった。


俺は、ひたすら酒を飲み続けた。

普段、家の中に酒などない。

以前は自分で、安物のウイスキーなどを買っていた。

今は、それを買う金すらもなかった。

すべてがガソリン代に消えた。

つまり、好きなだけ酒が飲める数少ない機会でもあった。

たまに、冷蔵庫を覗くと、奥の方にチュウハイの缶があったりした。

それは、俺のための酒でなく、妻が密かに飲んでいるものだった。




「今日はありがとう」

彼女だった。

兄のために、宴席を回り、酒を注いで回っているのだった。

「同級生なんですよ」

彼女が、俺の隣の席に座る婦人に言っていた。

その婦人は、俺の母と同級生だったという。

話を聞いているうちに、記憶が蘇ってくる。

一緒に酒を注ぐ、彼女の母もまた、俺の母の同級生だったということを。


隣の夫人が、彼女と俺を交互に見比べた後、俺に言った。

「あんた、若く見えるわね」

複雑な気持ちになった。

この年で若く見られるというのは、ガキに見られているということと、同じではないのか。

婦人が、彼女の方へ視線を戻してこう言った。

「○○ちゃんは、まあ、老けたわね」

彼女が、微笑みながら婦人の肩を叩く仕草をした。

お互い、老けてみられて傷ついてしまうような年齢ではないのだった。



席に戻った彼女は、ビデオカメラを回している。

時々、夫と言葉を交わし、楽しそうに笑ったりしている。

しばらくすると、子供が彼女のビデオカメラを奪い取り、撮影を始めた。

時々彼女の方へ、視線を向けた。

とても仲のよさそうな、夫婦に見えた。

実際のところは、どうなのだろう。

疲労が浮き出た彼女の表情をみて、その疲労の原因は何なのだろうと想像してみた。

そんなことを考えてみても、わかるはずもなかった。

ビールから、水割りに変えた。

それがなくなると、チュウハイにした。



いくら飲んでも、酔う事などなかった。


大人であれば、妻とうまくやれる。

それが出来ない俺は、やはりガキなのだ。

そんな想いばかりが、頭の中を駆け巡っていた。

あのころの俺は、ガキだった。


それから、いろんな思いをしてここまできた。


自分では、大人だと思っている。


実際には、あのころから何一つ進歩することのなかった、ただのガキなのではないのか。


気が付くと、また彼女の方へ視線を向けていた。

何か話をしながら、彼女が顔を上げた。

視線が交わりそうな気がして、俺は慌てて手元の酒に視線を戻した。

俺は鼻白んだまま、酒を煽った。

水割りも、チュウハイも無くなっていた。


俺は自分で、栓を抜かれたままになっていた、生温いビールをグラスに注いだ。