旅先で~怪しげな露店でお土産?
露店で、どう見ても怪しげなDVDソフトが売られていた。
堂々と並べられているそのソフトのタイトルを見て、俺は驚愕した。
スターウォーズエピソード3。
明らかに、違法コピーされたものである。
そして、コピー元になるはずのソフトも、まだ発売されてはいない。
3年間、待ち焦がれていたにもかかわらず、まだ観ていない映画だった。
パッケージを手にしたのと同時に、値段を聞いていた。
日本円で約700円。
映画館の、半値以下である。
DVDソフトを手に持ったまま、妻の方を見た。
金は、渡されていた。
日本円で約1000円である。
その金でこのDVDは買える。
それでも、妻はNOと言った。
もしも、税関で発覚すると時間をロスする。
そのとおりだった。
だが、発覚すればの話で、その可能性は非常に低いものだということもわかっていた。
あきらめるしかないのか。
そして、こんなものを買うことは、この映画を冒涜することにはならないのか。
そんなことを考えていると、妻が言った。
「どうせ、日本で発売されれば買うんでしょ」
「ああ」
「それなら、無駄でしょうよ」
確かにその通りだ。
一日でも早く、この映画を観たい切実な気持ちは、妻にわかるはずもなかった。
DVDを棚に戻し、足早にその場を後にした。
そして帰国後、まだ上映されているだろうか。
DVD化は、いつごろになるのだろうかなどと考えていた。
俺は立ち止まった。
何よ、と妻が言う。
やっぱり買いたい。
そう言うと、妻は呆れたように同じことを繰り返し言って、先に歩き出したのだった。
俺は一度、その露店を振り返り、妻の後を追った。