何も考えない | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

何も考えない

何をしたところで、妻は腹を立てるだけだった。

あんたは何も考えていないのか。

娘とおもちゃで遊んでいる時、妻がいきなり怒鳴った。

どうしてこうなるのか、何も考えていない。

だから、何も解決しないのだ。

そんなようなことを延々と話している。

ひょっとして、それは一瞬の出来事であり、俺がただ延々だと感じただけかもしれない。

話しを最後まで黙ってい聞いた後、俺はたまらず庭に出た。

外はもう暗くなっていて、雨も降り始めていた。

一時も、気を休めることが出来ない。

それが現実だった。

暗闇を茫洋とした気分で眺めながら、俺は妻の言った事を考えていた。

何も考えていない。

それは、死んでいることと同じだ。

思考は、最後にそこに行き着いた。

陰惨な気分で玄関を開けると、また怒鳴り声だった。

そうやっていじけているだけで、何も考えていない。

もう、勘弁してほしかった。

それでも、俺は黙って耐えた。

○○ちゃんは、ちゃんと物事を考えるのですよ。

妻が娘に言っていた。

俺はそのまま、娘達の布団をひき、居間のソファーでじっとしていた。

しばらく天井をみつめていてはっとした。

俺は今、何も考えていないことに気付いた。