偶然?それとも
いつもより、30分遅く仕事場を出た。
通勤時の車内だけが、俺の空間かもしれない。
その時だけ、俺はだらだらと、様々な事を考え込んでいられる。
何故か、以前勤めていた会社での事を、思い出していた。
そこにいた、ちょっと生意気で、オタクっぽい女。
そして、出入りの業者で、俺も一緒に仕事をしたことがある、野獣のような男。
この二人が付き合い始めたと、人づてに聞いたことを思い出していた。
この話を聞いたのは、もう一年以上も前のことである。
その時は、そんなことがあるのかと、少なからず驚いたのだった。
会社の宴会で、二人が同席する姿を一度見たことがあるが、どうみても繋がらない二人だと、思った。
そして、今もそう思っている。
二人が仲睦まじく、寄り添う姿を想像してみた。
ありえねえ。
俺は口元だけでニヤリと笑った。
色々な所に思考が飛び、最後は娘にたどり着いて、俺は考えることを止めた。
そしてまた、口元だけで笑った。
気が付くと、携帯が鳴っていた。
前職の同僚からのメールである。
俺は奇妙な感覚に捕われていた。
いまさっき、頭の中でふと思い出した、風変わりな二人。
メールは、その二人の結婚を伝えるものだった。
偶然だな。
それとも、必然だったのか。
この世に、偶然など有りはしない。
ある映画の中で、耳にした台詞を、取り留めも無くまた思い出していたのだった。