おままごと
「チャーハン作るからね」
娘が寝室の隅に設えた木製のおもちゃのキッチンで、調理のまね事を始めた。
フライパンと鍋に、二つに割られたハンバーグをひとつずつ入れる。
「はいどうぞ」
そう言って、鍋の蓋を皿のかわりにハンバーグを盛って俺の前に出してくる。
きちんと自分の分も作ったようだ った。
同じものが、娘の前にも置かれている。
また、どうぞと言って、俺に喰うように勧めてくる。
私はありがとうと言って、それを口に入れるまねをした。
どうしようもなく、娘がいとおしくなって、無理やりこちらに引き寄せ、抱きしめていた。
そして、頬を摺り寄せた。
娘は、大声を上げて俺を引き剥がし、左腕をつねってきた。
目を丸くして、俺を睨んでくる。
そして、怒った顔もまたかわいいと思ったのだった。
痛いと大げさに言うと、娘も歯を出して笑っていた。
そして、また何事も無かったかのように、調理を始めたのである。
今度は何を作るのと聞いたら、ご飯だと答えた。
鍋の中を覗きこむと、さっきと同じハンバーグが一切れ入っていた。