旅行計画~夏??
その場所は、およそ、夏を連想させるようなところでは無かった。
会社で支給される、旅行補助を使うという算段だ。
補助制度の通知が来たのが8月なので、ギリギリである。
夏らしい、海辺のリゾート系はすべて埋まっているし、料金がとても高かった。
妻がそう言っていた。
この旅行計画は、妻が極秘裏に進めていたのだった。
それでも、家族3人で旅行に行くという考えがうれしかった。
少々の出費も、
旅行で得られるもの・・・・プライスレス。である。
その旅行で、妻との距離が縮まればと、思う。
娘の声が聞こえた。
どうやら、目を覚ましたらしい。
「おとうちゃん。おねえちゃんのところいくよ」
一瞬、首をかしげた。
おねえちゃんとは誰のことを言っているのだろう。
まだ、赤ん坊のようなもので、時々、わけのわからないことを言う。
娘は俺の手を握って、玄関へ歩いて行った。
外はうんざりするほど暑く、ぎらぎらとした日差しが、肌を焼きそうだった。
「おうちの中で、遊ぼうよ」
俺がそう言うと、口をへの字に歪ませて泣いてしまった。
そして、日焼け止めのクリームを探した。