やっているのに家事~そして怒号 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

やっているのに家事~そして怒号

「何度言ったらわかるのよ」


いきなり、部屋に押し入られての怒号だった。

「何でカーテンが合わさっていない訳。何度も言っているじゃない」

戸締りは、俺の仕事だった。

雨戸を閉め、カーテンを閉めた。

時々、カーテンの金具がレールに引っかかり、完全に閉まらないことがあった。

いつも注意はしていたのだが、見逃してしまったのか。



俺は就寝前の、わずかな自分の時間を楽しんでいたところだった。

PCの、液晶画面に開かれたウインドウを最小化しながら、妻の話をうつむいて聞いていた。


何で言われたことが出来ないのだ。

それによって、非常に不愉快な思いをしている。

そんな言葉を、延々と俺に浴びせてくる。

家事の分担は、ほぼ決まっていた。

小さなことだが、俺の仕事はあった。


食事の後片付け。

布団の上げ下げ。

風呂の掃除。

犬の世話。

ゴミ出し。

洗濯(自分のもの)。

娘の面倒も見るし、家の掃除も時々する。



そして、抜けてしまうことが時々あった。


「ちょっと言わないと、やらなくなるんだから」


昨日、布団を上げるのを忘れてしまった。

そのことを、叱責されているのである。

黙って、うつむくしかなかった。

それでも、話は延々と続いた。


何度言ってもわからないんじゃ、あんたは本当に馬鹿だ。

こんな調子じゃ、仕事もろくに出来ないんだろう。

そして、甘やかされて育ったからこうなったのだという結論に達っして話は終わろうとしていた。



「あんたはいいよね。こうやって好き勝手に部屋でパソコンやって遊んでいて」

「いったい何をやっているんだか知らないけど、、、」


言いながら、部屋を出て行った。

寝室から、ゲームをやっているなどと聞こえてきた。

わざと、聞こえるように言っているのだった。


PCを続ける気にもなれず、電源を引き抜き、布団へ潜り込んだ。

胸がむかついて、眠れない。

目を閉じた。


寝室から、また声が聞こえた。

「何で、言ったことが出来ないんだろう」

言われたことは、やっているじゃないか。

そう思っても、時々抜けてしまうことを責められているのだった。




腹の中が煮えていた。




少し眠って、すぐに目覚めることを繰り返した。

そして、いつの間にか、朝になった。

夜が明けても、まだ腹の中が煮えていることに、俺は驚いていた。