変な、夢 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

変な、夢

悪夢で眼が醒めた。

変な夢だった。


無数の、怪物のようなものに追い掛けられる。

追い詰められると、俺は何故か空を飛んでいた。

そして、上手く飛ぶことが出来ず、また怪物の群れの中に落ちてしまう。

捕らえられる前に、また飛ぶ。

すぐに、落ちてしまう。

そんなことを、三度繰り返し眼を醒ましたのだった。

胃のあたりがむかついていた。

たっぷり時間をかけて、布団から抜け出す。

時間はもう、ない。


弁当は諦めるしかなさそうだった。

コップの水を飲み終えると、妻が起き出してきた。

「これ、詰めて行きなよ」

時間がない。

言う前に、妻は弁当の箱に鍋に入っているものを、詰め始めていた。


朝、妻と顔をあわすのは今日で三度目だった。

そのたびに弁当の心配をしている。

荷物を持ち、玄関へ向かった。

振り返りながら、言っていた。


「行ってきます」

返事は、ない。

もう一度、言った。

「行ってらっしやい」


少し、呆れたような声が返って来た。



車を飛ばした。

雨はすでに上がっている。
雲行きは、怪しいままだった。


更に、アクセルを踏んだ。

不調を思わせる、低い唸り声がエンジンルームから聞こえてきた。