自分を責めるな 「楽観」
「なにも、作れないんでしょ」
「作れるよ」
妻が、腹を空かせて帰宅し、俺は何か作ろうかと言ったのだった。
意地の悪い言い方じゃないか。
炒め物とか、簡単なものは作ることができる。
妻は、それを知っているはずだった。
俺の作ったものを、3人で喰うことだって珍しくない。
「チャーハンかオムライス、どっちにする」
「チャーハンで、いいよ」
俺は、その物言いに苦笑した。
オムライスは、卵が難しい。
中だけ半熟にし、飯の上で切って広げる。
それをいつも失敗するのであった。
チャーハンを喰い終えると、買い物へ出かけた。
妻の車は、エアコンが効いていて快適だ。
俺の車はひどいものだった。
窓を全快にして、通勤する。
今はまだいい。
これからの季節が、思いやられる。
通りに面した、中古車屋を見ながら妻が言った。
「ほらあれ、いいんじゃないの」
俺の気持ちを、察しているのかと刹那、思った。
妻の指差した先は、10万円と札の付いた草臥れた国産車だった。
「まあ、あれでもいいな、俺は」
エアコンも効かない車だぜ、俺の車は。
後の言葉は、飲み込んだまま、口をついて出てくることはなかった。
いちいち、腹は立てない。
いや、屈辱感すらも感じなくなってしまったのか。
要するに、腰抜けか。
認めたくはないが、多分そうなのだと思う。
帰宅し、夜も更けてきて、妻に酒を飲まないかと、誘った。
無下に断られる。
俺が空気を読まずに、酒など誘ったことがいけなかったのか。
結局妻は、一日機嫌が悪かった。
そう思うことにした。
自分を責めても、良い事なんて何も無いのだから。
「作れるよ」
妻が、腹を空かせて帰宅し、俺は何か作ろうかと言ったのだった。
意地の悪い言い方じゃないか。
炒め物とか、簡単なものは作ることができる。
妻は、それを知っているはずだった。
俺の作ったものを、3人で喰うことだって珍しくない。
「チャーハンかオムライス、どっちにする」
「チャーハンで、いいよ」
俺は、その物言いに苦笑した。
オムライスは、卵が難しい。
中だけ半熟にし、飯の上で切って広げる。
それをいつも失敗するのであった。
チャーハンを喰い終えると、買い物へ出かけた。
妻の車は、エアコンが効いていて快適だ。
俺の車はひどいものだった。
窓を全快にして、通勤する。
今はまだいい。
これからの季節が、思いやられる。
通りに面した、中古車屋を見ながら妻が言った。
「ほらあれ、いいんじゃないの」
俺の気持ちを、察しているのかと刹那、思った。
妻の指差した先は、10万円と札の付いた草臥れた国産車だった。
「まあ、あれでもいいな、俺は」
エアコンも効かない車だぜ、俺の車は。
後の言葉は、飲み込んだまま、口をついて出てくることはなかった。
いちいち、腹は立てない。
いや、屈辱感すらも感じなくなってしまったのか。
要するに、腰抜けか。
認めたくはないが、多分そうなのだと思う。
帰宅し、夜も更けてきて、妻に酒を飲まないかと、誘った。
無下に断られる。
俺が空気を読まずに、酒など誘ったことがいけなかったのか。
結局妻は、一日機嫌が悪かった。
そう思うことにした。
自分を責めても、良い事なんて何も無いのだから。