腹に詰め込むだけの飯 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

腹に詰め込むだけの飯

「豚丼なんですがいいですか」
メニューを指差した俺に、店員が念を押してくる。
当たり前だと言いたくなった。
牛丼など喰いたくない。
豚が好きなのである。
回りを見渡すと、体格のよい男どもが牛丼をかきこんでいた。
斜め前の、痩せた背の低い男は、カレーライスを食っている。
豚丼が無くなったら、もうここへは来ないだろう。

丼の中を覗き込む。

大盛りの割には、やけに飯が少ないような気がした。