何でもない、しあわせ。 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

何でもない、しあわせ。

娘は大の字で、床の上に寝てしまった。


そっと布団をかけてあげる。

朝食を摂ってすぐに、倒れる様に寝てしまったのである。



汚れた食器を洗い、ソファーに体を沈ませた。



日差しが暖かい。

木漏れ日が、俺の手のひらに、奇妙な模様を写し出している。


ぼんやりと窓の方へ目をやっていた。

空は、蒼くどこまでも澄んでいるように思えた。



突然視界の中を、何かが過った。


雀だった。


盛んに首を動かし、刹那こちらを見て、どこかへ飛んでいった。


今日は良い一日になりそうだ。




娘の寝顔

時々やって来る雀。



なんでもないことに幸せを感じる。


まどろんでいた。



妻の声で、目覚めた。




「自分の洗濯物は、自分で洗って」


俺は、ああとだけ答えて、また窓の外に目を向けた。