娘 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

熱が出ていた。

妻から、移ったのか。

まだ、わからない。

病院へ行ったが、インフルエンザの検査はしなかった。


時間が経過していないと、検査をしても、反応がでない場合があるらしい。


家に着くと、娘は妻に抱っこして、とせがむ。

でも抱かせることは出来ない。


今日は、俺で我慢しろ。


無理やり、抱き寄せ頬を寄せる。


娘は、泣きながら、ママと叫んでいる。

妻は決して、抱こうとはせず、遠くから声を掛けているだけだった。


食事をさせ、薬もそこに混ぜてあたえた。


震えながら、スプーンを使って、飯を口に運ぶ姿をみて、思わず涙が出そうになった。

「おいしい」

薬が混ざっていることが、わかってないようだ。


いつもより元気のない娘とふたり。

一人がけのソファーに座り、一緒にテレビを観た。

「すごいねえ」

小動物が映っていた。




こうして、何歳まで一緒に遊べるのだろう。



大きくなって、お父さん臭いからあっち行って、などと言うなよ。


呟いていた。


娘はまっすぐな目で、俺を見つめてきた。