居場所 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

居場所

居場所は、どこにもなかった。

部屋に入ると、うつるからと追い出される。


仕方なく、妻と娘の布団を引いた。






食卓に行くと、妻が娘に食事をさせている。


俺はそれを遠巻きに観ていた。



娘が遊び始める。

そして、皿を落とす。

いつものことだった。



しかし、妻の対応は違った。


「うちはみんな変な人ばかりだ。おとうさんもOOちゃんも」



さすがに、怒りがこみ上げてきた。



2歳の娘に、言う言葉か。


そして、本気で顔をあわせるのも嫌だと思っていた。


俺は、娘のこぼした夕食を片付け、食器を洗った。





俺は自室に戻って、窓の外を眺めていた。


一戸一戸の家に、明かりが灯っている。

きっと、楽しい夕食をとっているのだろう。

なんとなく、考えていた。





それから、食卓に戻った。


妻が、食器を洗っている。


「俺が洗うよ」

「うつるから、近寄らないでって言っているでしょ」



また、追い出された。





自室にもどり、ふと気が付いた。


妻と娘二人は、免疫があるから、うつらないよな。


お互い、顔を突き合せないほうが、幸せってわけか。


卑屈になっている、自分を笑った。