大きなピザ2枚で1万ビットコイン。今ではこのように聞くとそんなアホなと思うことでしょう。しかし、これが史上初の現実世界のビットコイン取引だと考えられています。2010年5月22日、「ビットコインピザデー」として知られるようになったこの日は、ビットコインが現実に存在する有形のものを購入するために初めて使用されました。

 

この2枚のピザを手に入れるために、ビットコインは英国のとあるボランティアに送られ、ボランティアは大西洋をまたいで電話をかけ、フロリダを拠点とするプログラマーに30ドルのピザを配達する費用を支払いました。

今では30ドルという金額は大したことではないかもしれませんが、これが仮想通貨の歴史における重要な一歩であり、21 世紀で最もエキサイティングな技術革新となったことは間違いありません。この歴史をたどり、ビットコインと仮想通貨がどのように開発されてきたのかを解説します。

仮想通貨のアイデア

仮想通貨のアイデアは、1983年にアメリカの暗号学者デヴィッド・チャウムが匿名の暗号電子マネーの形式を説明した論文を発表したときに初めて登場しました。

 

このコンセプトは、追跡不可能で、中央集権型の機関 (つまり銀行) を必要としない方法で送信できる通貨のためのものでした。1995年、チャウムは初期のアイデアに基づいて、Digicash と呼ばれる仮想通貨の原型を開発しました。

 

銀行から資金を引き出すにはソフトウェアが必要であり、その資金を受取人に送金するには、特定の暗号化されたキーが必要というものでした。


Bitcoinの前身と見なされるBitGoldは、1998年にコンピュータ科学者のニック・サボによって設計されました。しかし、サボは二重支出の問題 (デジタルデータをコピーして貼り付けることができる)を、中央機関を使用せずに解決することはできませんでした。

 

その後、謎の人物またはグループがサトシ・ナカモトという仮名を使用して、「ビットコイン – ピアツーピア電子キャッシュシステム」と呼ばれるホワイトペーパーを発行し、ビットコインとその後の仮想通貨の歴史を動かすことになりますが、それは10年後のことです。

はじまり(2008-2010)

2008年10月31日、サトシ・ナカモトはブロックチェーンネットワークの機能を説明するビットコイン・ホワイトペーパーを発行しました。そして2008年8月18日に Bitcoin.org を購入し、正式にビットコイン・プロジェクトに取り組み始めます。


2009年1月3日にビットコインネットワークの最初のブロックをマイニングしました。彼らは、タイムズ紙の見出しをこの最初のブロックに埋め込み、銀行の救済と中央集権型の金融システムを含む経済状況に言及します。

この最初のブロック(50のビットコインがマイニングされました) は、現在ジェネシスブロックと呼ばれています。ビットコインは、当初ほとんど価値がなく、ビットコインが取引可能になってから6か月後の2010年4月には、1BTC の価値は14セント弱でした。11月初旬までに、価格は36セントに「急上昇」し、その後29セント前後で落ち着きました。

市場が形成され始める (2010-2014)

当時はまだそれほど価値はありませんでしたが、ビットコインは現実世界での価値があることを示していました。2011年2 月には1.06ドルまで上昇し、その後約87セントまで下落しました。

 

春には、新しい「仮想通貨」に関するフォーブスの記事もあり、価格が上昇。4月上旬から5月末にかけて、ビットコインの価値は86セントから8.89ドルに上昇しました。

6月1日、ゴーカーというブログにてオンラインの麻薬取引コミュニティにおける通貨の魅力についての記事が発表された後、価格は1週間で3倍以上に跳ね上がり、約27ドルになりました。このとき流通していたビットコインの市場価値は、1億3000万ドルに近づきました。しかし、2011年9月までに、その価値は約4.77ドルまで下がりました。

2012年、ビットコインの価格は着実に上昇し、その年の9月には、ビットコインの開発と普及を促進するためにビットコイン財団が設立されました。当時オープンコインとして知られていたリップルもその年に開始され、翌年にはさまざまなベンチャーキャピタルを魅了しました。

2013年、さまざまな規制関連の問題などで、ビットコインの価格は絶えず上昇と下降を繰り返していました。11月19日にその価格は755ドルに達しましたが、同じ日に378ドルまで急落。11月30日までに、再び$1,163まで上昇。

 

しかし、これは長期暴落の始まりであり、ビットコインは 2015年1月までに152ドルまで下落しました。

詐欺が見出しを独占 (2014-2016)

匿名性と集中管理の必要性が無くなったことにより仮想通貨は犯罪者にとっても非常に魅力的な通貨になります。2014年1月、当時世界最大のビットコイン取引所だったMt.Goxが倒産し、85万ビットコインを失い、破産を宣言しました。

 

行方不明になったBTCは2011年から徐々に盗まれており、さまざまな取引所 (マウントゴックスを含む) で現金として転売されていた可能性があります。CEOのマーク・カルプレスは2017年に横領で起訴されましたが、2019年に無罪となっています。

このハッキング事件が、注意喚起の役割を果たし、その後の取引所のセキュリティは大幅に改善されました。小規模な取引所は今でもハッキングされ続けていますが、大規模なプラットフォームでは、障がいが発生した場合に備えて、保有する通貨に対して十分な保証を設けています。

ビットコインが世界的に大流行 (2016-2018)

ハッキング事件なども乗り越え、ビットコインの価格は年々着実に上昇し、2016年1月の434ドルから2017年1月には998ドルになりました。


8月に大きなアップグレードが開始されてから1週間後、ビットコインは約2,700ドルで取引されていました。2017年12月17日までに、ビットコインは20,000ドル弱という天文学的な最高値に達しました。

同じ時期に、イーサリアムと呼ばれる新しいプロジェクトが話題になり、2015年7月に開始されて以来、時価総額ですぐに第2位の仮想通貨になりました。イーサリアムはスマートコントラクトをもたらし、幅広い潜在的なユースケースを築き、200,000を超えるさまざまなプロジェクトがイーサリアムをもとに作られています (さらに増え続けています)。

下落と上昇の繰り返し(2018-現在)

ビットコインは、過去最高の19,783ドルを維持できませんでした。同様に、2018年1月に約1,400ドルに達したイーサリアムも、その価格を長く維持することはできませんでした。金融規制とセキュリティ上の懸念が市場全体の下落の一因となり、2018年末までにビットコインは約3,700ドルまで下落しました。

しかし、2億5,000万ドル相当のビットコインを購入したというマイクロストラテジーの2020年8月の発表によって強気相場が始まり、2021年初めにテスラが15億ドルのビットコインを購入したことで価格がさらに上昇しました。ビットコインが現在の最高値である69,000ドルに達したのはその年の 11 月でした。

仮想通貨のボラティリティは魅力的であると同時に破産をもたらす可能性もありますが、それらすべての背後にある基盤となるテクノロジーであるブロックチェーンには、私たちの社会の多くの分野を変える力があります。

 

手頃にアクセスが可能で安価な金融取引オプションを提供すること、自分以外の誰もアクセスできないように自分の資金を保護すること、保険の見積もりに正確なデータを提供することなど、ブロックチェーン技術は経済のほぼすべての分野で使用される可能性があります。

まとめ

仮想通貨の歴史をビットコインを中心に解説しました。こうしてみるとこの短期間でも非常に多くのドラマがあることがわかりますし、とても興味深いですよね。これからどのような歴史を歩んでいくのかにも注目です。