2023年 三田市長選挙

いよいよ7月23日が投開票です

 

神戸市とおなじく人口減少問題

子育て施策をどうしていくのか?

などが重要な論点ですが

 

一つ大きな争点とされているのが

三田市民病院と神戸市北区にある済生会病院の再編問題です

この記事では三田市民の皆さんから見た病院にかかる財政面がどうなるのか?を中心に書かせて頂こうと思います

 

先に結論を述べますと

現状、三田市民のみなさんは病院に対する負担として

市民一人当たり15,778円を負担している

再編統合を行うことで、大きな国の補助を得ることができ

経営を民営にすることで運営面で負担減が可能となるという事です

 

 

その前におさらいとして

 

再編統合の目的は

まずは現状の老朽化問題への対応

将来の意思確保や充実した医療体制の確保というところが大きな要素です

 

再編統合反対の理由としては

市民の病院なのだから市内にあるべきという事や

現在の市民病院から遠くなってしまう事などが

市民意見交換会(三田市内)での主な反対意見のようです

 

検討する要素としては

場所や医師確保がどうなるのか?など多くの要素があるし

市境を超えた場所に整備されてしまうとすると、心情的に嫌だなあと感じる方はおられると思います

今回は三田市長選のタイミングですので

冒頭記載したとおり、三田市民のみなさんから見た視点で財務面を中心に以下書かせて頂きます

 

 もくじ

〇統合するとどのような財務面でのメリットがあるのか

〇負担はどのように削減できるのか

〇なぜ神戸市議がこの話をするのか

〇補足 地図で見る病院再編

 

〇統合するとどのような財務面でのメリットがあるのか

・国による特例補助が受けられる(建設費)

これは通常建設費にたいして20%しか受けられない補助が40%に増加するため

現状で試算された建設コスト225億円~320億円を想定すれば45億円~64億円分の補助の上乗せが受けられます

補助と記載していますが、正しく言うと交付税措置がなされるため、国が負担してくれるという意味になります

 

・済生会病院がコストを負担する(建設費・運営費)

仮に現状維持をした場合、三田市が単独で大規模修繕や建て替えを行う必要がありますが

今回の統合案では、済生会病院と三田市が新病院を建設する事になるため(負担3分の1と3分の2)3分の1のコストは済生会病院(恩賜財団)が負担してくれることになります

また、運営においても現状は三田市がリスクを負うため、赤字については全て市民負担になりますが、統合により運営は済生会病院に移るためこの部分が無くなります

さらに、現在の市民病院について職員費の「上乗せ分」が約1億5千万円かかっています(市民病院のスタッフは市の職員であるため、一般会計で雇用した場合と病院が出せるものの差額補填)が、これも運営が済生会病院になるため負担が軽減されます

 

・神戸市がコストを負担する(建設費・運営費)

不採算部門とされている救急医療および小児救急医療等については、神戸市も神戸市民の利用割合に応じて建設費と運営費を負担する事になります

また、新病院(神戸市北区長尾町宅原)の建設用地についての、用地買収・造成費などは神戸市が負担する計画です 現状維持をする場合、現地建て替えなのか別の場所なのか等不明なので比較は困難ですが、、、

独自整備の場合に統合した場合(400~450床)と同規模のものは整備困難であるため

これはあくまでも割合の比較です

ここに、神戸市の負担する部分がどこなのかを分かりやすく入れると↓のようになります

三田市負担部分のうち、不採算2部門の神戸市民使用割合部分の建設費を神戸市が負担します

 

〇負担はどのように削減できるのか

他にも細かな事項はあると考えられますが

大きな要素としては上記のようなものでしょう

 

現状維持~将来三田市が単独で再投資をする場合は、統合した場合の病床数と変わってくると思われる(病床を増やすのは困難)ため、正確な数値での比較は難しくなる事はお断りしますが、現状の三田市負担=市民負担と、今後再編統合した場合の数値の推測を下記で行います

 

まず現状

10億円の運営費補助、7億円の建設費などに対する資本的補助を三田市は行っています、令和5年3月末時点での三田市人口10万7744人で割った場合

17億円÷107,744=15,778円となり

市民一人あたり三田市民病院を維持するために15,778円の負担をしているという事になります、仮に、4人家族でしたら63,000円を年間負担している計算です

 

資本的補助について

現状は三田市から7億円支出している訳です

これは、令和3年度の病院会計の決算、約37億円の借入金の返済、および医療機器等の更新取得費用などに対するものだと思われます

統合病院を建設する場合の三田市の負担としては、上述の試算における金額225億円~320億円の多い方になったとして、320億円のうち三田市の負担は3分の2ですが、全体額の40%は特例補助の対象になるため、66%分マイナス40%分の26%分が三田市の負担となります、したがって、320億円×26%=83.2億円

このうち、不採算2部門の神戸市民負担分は神戸市が負担する事が計画されているため、数%は三田市の負担が軽減されます

神戸市負担分は現状分からないので、全て三田市が負担するとして、利率1%で30年償還をすると仮定した場合、償還総額が96.3億円になるため、30で除し3.2億円が三田市の年あたりの負担になるのではないかと考えられます

もちろん今の37億円の借り入れは返済を済ませる必要があるため、この負担は短期的に重複します

 

運営費については、検討会などでは収支は改善されるであろうという予測がされていますが

何事も100%はありません

ただ、これまで再編した周辺病院 北播磨総合医療センターや加古川中央市民病院などでは、医師確保が行われ(100床あたりの医師数は北播磨15.4人⇒36.4人 加古川23.6人⇒38.1人へと劇的に改善されている ※第5回あり方検討会)その結果、

どちらも赤字から黒字へ転換している(北播磨はコロナでその後赤字になっている)

どちらの病院も小児救急および周産期への補助は継続しているであろうと推察されるため、現状の三田市が行っている10億円の運営費補助は黒字転換したとしてもゼロになるわけではなく、現状行っている不採算部門である救急医療に対する約4億円、小児医療等に対する約2億円の補助は継続するだろうと思われます

ただし、今回は神戸市と一緒にこの圏域の医療をよくしようという事で、この不採算2部門の運営費赤字部分については、神戸市民の利用率に応じて神戸市が負担することが計画されているため、三田市から見ると一定経費が減少すると予測されます

以上、ざっくりですが10億円の運営費補助のうち、不採算2部門の分が全額残ったとしても、4億円の運営費削減になると考えられます

 

以上から、不確定な数値である神戸市の負担をのぞいても

資本的補助は7億円⇒3.2億円程度になるのではないか?(現債務重複返済除く)

運営費補助は10億円⇒6億円程度になるのではないか?と考えられます

 

市民一人当たりの負担額は

9.2億円÷107,744=8,534円となり

市民一人あたり三田市民病院を維持するために15,778円の負担をしているという現状から、7,244円の負担が軽減される事が予想されます

 

色々な不確定予想もあるため、果たしてこの金額が実際に予算として浮いてくるかは分かりませんし、もっと多額の負担減が実現するかもしれません

どちらにせよ、神戸市と同様の人口減少問題に対応していくためには、子育て政策などの都市間競争のための財源が必要になってきます

病院に関する予算が削減できて、他に投資できるのならばその選択がなされるのが合理的ではないか?と他都市の者ながら思う次第です

 

〇なぜ神戸市議がこの話をするのか

なぜ神戸市の市会議員がこの話をするのか?

思う次第で黙っていればいいのに、なぜわざわざ神戸市議がこの話を長々と書くのか?

と思われるでしょう

この問題は、当然神戸市の北神地域の医療の問題でもあります

この先この地域で十分に高度な医療が受けられるかどうかの瀬戸際です

確かに北神地域でも、新病院になってしまうと今より遠い!!というお怒りの声を頂きます

 

ですが、やはりメインの機能は地域の中心である救急病院であるため、いざという時に命が救われる事が重要です

 

地域包括医療の中で、普段通う病院は地元のかかりつけのお医者さん、いざという時が大病院です、いざという時の救急車で行く病院がこの地域に存在するのか?

ポートアイランドにある神戸中央市民病院まで行かねばならないのか?

これはこの先のまちづくりにおいて、この地域を広く見た場合に大きく影響する要素です

2.5時救急が出来る400~450床を持つ高機能病院を北神、三田、西宮北部の中心に据えていただきたいと考えるからです

 

〇補足 地図で見る病院再編

地図で見てみると、、、

黄色の星で表している

北側が現在の三田市民病院の位置

南側が済生会病院の位置です

オレンジが新病院の位置です

↑これは検討会資料にある地図で

ちょうど両病院の中央が新病院の場所になるという事を表す図です

三田市内では、ウッディタウンや三田市北部からは確かに遠くなってしまいますが

三田駅周辺やフラワータウン周辺からは近くなります

神戸市で言うと、人口の多い藤原台や有野台からは遠ざかってしまいますが

鹿の子台や上津台には近くなります

ただ、上述したとおり、これは救急病院なのである程度の距離にあって

命を救ってくれる、重症に対応してくれる事がもっとも大事な事項です

 

はっきりとどちらを選択する!という事は

反対の声をもつ皆さんから嫌われてしまう事にもつながるので

白黒ハッキリさせる事を政治家は敬遠しがちですが

こちらが正しいと思う事を市民の代表としてしっかり選択させていただくのも私の仕事です

今回の問題については、遠くなるやないか!!と思っている人には「コラ五島!」と思われてしまうかもしれませんが、合理的に考えてこちらが正解と考えます

 

もちろん課題もあります

アクセスについては、しっかり確立しなければなりませんし

イオンモールやアウトレットで渋滞する土日の渋滞対策は必要になるでしょう

元々あるこの地域での休日夜間のこども急病対応も継続的に課題です

この地図のほぼ全域のみなさんがHAT神戸の神戸こども初期急病センターにかかっておられるのではないかと推測しますが

今回、三田市民病院跡地に、こども急病センターの整備も案として出されているようです

北神からも、HATまで行くより新三田の周辺の方が近所になります

熱を出したこどもを近くで見てもらえることはありがたい事です

元々、こども急病センターを北神地域に!と要望しておりましたが、地図をみながら距離の事を考えると、この計画は是非実現してほしいものです
 

神戸市会議員

五島だいすけ

 

 

データなどの出展、参考情報は下記HP

 

 

第5回検討会

https://www.city.sanda.lg.jp/material/files/group/6/dai5kaikenntouiinnkaisiryou.pdf