神戸市水道事業 このままで大丈夫か?
いま、神戸市の各公営企業会計が大変です
公営企業会計とは、一般会計とは独立した単位の事業で
神戸市では
水道・下水道・高速鉄道(地下鉄)・自動車事業(バス)
港湾事業・新都市整備事業などさまざまです
公営企業とは?
独立採算の、ある意味で神戸市の中でも独立した企業のような事業体と思っていただければ何となく正解です
特にこの中でも、水道事業・高速鉄道事業・自動車事業がまずい
コロナで利用者が減り、コロナが沈静化するに従い回復基調にあるもののコロナ前まで利用者・利用量が回復しきらないため
収入が減少し、赤字が続いています
高速鉄道や自動車事業(=地下鉄とバスと呼びますね)
これについては、リモートワークなどが増加し、また、まだ出かける事を遠慮する方がいる事や、そもそもの人口減少で乗車人員が減っておりかなりの赤字が出ています、地下鉄などは黒字事業でしたがこの間大赤字です、バスはコロナ前から赤字でしたがコロナで悪化してます、この2事業はまた別途お話します
今日お伝えしたいのは水道事業会計です
コロナ前から人口減少や節水型社会の進展で、水道使用量は減少の一途をたどっていました
コロナにより、外食などが減ったこともあり、しばらくの間家庭での使用水量は増加しました
しかし、全体としては使用水量減少
節水としては成功?なのですが、水道事業の収入としては悪化です
実は、神戸市では、有収水量(収入になる水の使用量)のピークはいまから30年前の平成4年をピークとして、それ以来減少が続きます
下水道料金は令和2年6月使用分より改定があり、値上げされましたが、水道料金(単価)は長い間変わっていませんので
水道事業の収益は、当然減少しつづけています
一方で、経費の方は水道管や基幹施設(浄水場・配水基地など)などの定期的な更新が必要です、また、物価高騰などにより動力費は電気代の高騰などにより増加していきます
水道管の更新についても、昔の工事代金や材料費と、現在を比べると単価が違いますので、今の固定資産(取得額ベース)の額が横ばいというわけにはいかず、投資は増加してしまいます
収支は今後、悪化する見通しで令和10年より赤字転落が予想されます
収支が悪化し、資金がどんどん減少しているのが実情で
その結果、今のままでは数年で資金が底をつきます
水道事業会計の規模から、手許資金として150億円程度はおいておかなければならないのですが、令和4年末に300億円強あるものが、これを確保するために令和6年から起債(借金)をしなければならない状況で
水道局からの説明では、「現状神戸市は政令市の中では財政状態はかなり良い方で、水道事業収入に対して200%程度までは起債しても大丈夫であるため、起債をしていきたい」という案が出されています
(↑記載の発行基準について議論するという)
少し疑問に思われると思います
ん?将来悪化しつづける予想をしているのに、借金を増やして大丈夫なのか?と
経営改善をしてコスト削減なりをしないとダメだろ!と思いますよね
私もそう思います
ここで、実はこれまで水道局ではかなりのコスト削減を実施してきています
人口も水道使用量も減る事はわかっていたので、改革を!という圧力が強く
震災前に1,000人以上いた水道局職員は現在約500名、半分にも減らしています。退職者が出ても新規職員を雇用しないという「退職不補充」を長年続けてきており、今や20代や30代の職員はほぼいません
緊急経営改革というものを実施し、職員削減、事業所削減などを行い、局内でもハレーションを起こすほどです
我々議会からも、近年は逆に、そんなに無理やりリストラして大丈夫なのか?水道技術の継承は出来るのか?安全安心な水供給は継続できるのか?などかなり心配した質疑がなされている状況です
人数半分にしてもやっていけるという事は、これまで無駄な職員が多すぎたのでは?と思うかもしれません
確かに過剰な人員はいたでしょうが、業務を民間委託するなどで涙ぐましい改革という名のリストラをし続けてきたのが現状です
さて、話は起債に戻りますが
借金を増やすということは支払利息が増えるという事を意味します
将来、明るい見込みがあり、今我慢すれば何とかなるから数年借金してやり過ごそう!という見込みであればそれでいいかもしれませんが
冒頭書いた通り、将来予測は減収の一途です
明るい見込みなく、コストは増加するのに借金をするのは無理がある話です
実際いま、日本の金利も上昇の局面に入っており、シミュレーションでは1.9%の金利と設定されていますが、さて将来もこの金利なのか?まったく不確実です
さらに、世の中は給与を所得をあげなければならないという時代ですから、水道職員にだけ我慢しろとは言えません
市政改革という名のもとに、現場の職員をある意味いじめて来た歴史がありますが、限界があります
上記は収支予測ですが、赤線で示した数字は「その他」と記載されていますが、支払利息の金額です
令和2年に16億円の支払い利息がありましたが、これはかなり昔に金利が高いころの借金の分でした、返済が進んだので現在の支払利息は4億円弱というところです
これを、資金不足を起債に頼るという事で借金を増やしていくと、上述した水道収入の200%の額まで借り続けた場合、令和11年に支払利息は10億円になり、さらに借金を続ければ令和17年には支払い利息は24億円になると予測されています
支払利息が増え続け、経営改革も限界なのであれば、水道管にかかる工事をしない!とか、いっそのこと全て民営化!という事にもなるかもしれません
工事をしなければ、漏水はひどくなりますし、破裂対応が増えて逆にコストは増えますし、民営化は世界中で問題になっています
支払利息を増やし続け、結果的にどうしようも無くなり水道料金を上げなければならなくなる事が目に見えています。
果たして、支払利息が増えに増えた後で、料金値上げを実施したとして、我々市民が支払う値上げ分は利息に消えるわけです。
それは正解なのか?賢い選択なのか?
どうせ先々水道代を上げる議論がなされるのであれば、支払利息が膨らんで苦しくなってからの話をするのがいいのか??
私は、いま水道代を上げる議論を早めに始めなければならないと考えます。2月21日の予算特別委員会の質疑でこの内容をとりあげましたが、水道局からの答弁は
「世代間の負担の公平性を担保するために起債を行う」「水道設備は長年にわたって使用する者であるため、起債をすることが世代間の公平性を生む」というものでした・・・
おかしいですよね
いま起債をする事は、値上げの議論から逃れ、借金を積み上げる事で、将来世代に借金と利払いを残す事に他ならないのです
何が世代間の公平なのか?子供たちの負担を減らすために今しんどい話をする方が上策ではないでしょうか?
ここでかなり簡易ですが数字を弾いてみます
起債をして支払利息が24億円になった場合の、市民一人当たり年間支払利息は1,600円です(24億円/150万人)
この24億円は水道事業収入の約8%であり、24億円あれば
人員不足に悲鳴を上げる現場に、年収600万円の人員が400人も雇用できます(市負担保健料込み)
この金額が、令和17年まで起債した、ゆくゆく値上げをした場合の市民が負担する利息相当分です
設備更新があるため単純な話ではなく、比較的少額の起債は必要になるかもしれません
ですが、例えばいま市民一人当たり年間1,000円でも2,000円でも値上げを行えば、将来負担はかなり抑える事ができます
4人家族であれば月額666円の負担で(2,000円×4人/12か月)将来のバカげた利息負担が回避できます
水道代の値上げは許されない!や
一般会計から繰り入れろ!とか、国が面倒を見ろ!という話をされる方もいますが、給与水準を上げる事を世論として訴えているのに、水道代だけ安いままというのはあり得ない話で
他所からお金を持ってくるという話は、しょせん税でどうにかするのと同義で、我々市民が負担している事に他なりません
タコが足を喰っているのと同じなのです
むしろ所得を上げる努力を日本中で行い、水道代や物価高に対応していく事の方が重要で合理的だと思いませんでしょうか?
お役所は何らかの値上げの話をするのは嫌がります
バッシングを受けますから
政治家も、水道代の値上げの話をするのは嫌がります
票を減らすかもしれませんから、、、
でも、厳しい話であっても、将来世代のためなら、子どもたちのためになるのであれば、知らぬフリをせず、ただしい話をしなければならないのではないでしょうか?
今後の水道事業をどうするか?は当然水道局の内部でも考えらえる事ですが、水道事業審議会という専門家の審議が参考にされる事になります。水道事業審議会で合理的な話が行われるためにも
値上げをいくらかした場合のシミュレーションを審議会に出すように私から要望しました、嫌なことですが仕方がありません
さらに今以上に人を切る事は、今後の市民のためにはならないと思っています
やるのであれば、例えば道路や下水道を管理する建設局と管理設備を一体運用する、管理部隊を共用化する
他都市と広域連携し、管理を神戸市が引き受ける事で収益を増やすなどでしょう
神戸市は水の大部分を阪神水道企業団から購入していますが、お隣明石市が加入希望を出しているので、明石に水を流すときに神戸市が作った大容量送水管を使うので、配水の第3者委託料を神戸市は受け取れることが見込まれます(3億円にもならないとの試算ですが)こういった収益額の増加もやるべき事でしょう
今後も、各会計をウォッチし、合理的判断がなされるように発言を続けます
神戸市会議員
自由民主党神戸市会議員団 政調会長
五島だいすけ