企業誘致施策 500 Startups は市民利益につながるのか?
神戸市は
平成29年から、米国にあるベンチャーキャピタル「500 Startups」と連携し
起業家育成プログラムを実施しています
その目的は、神戸市への企業誘致です
以下は、プログラムのための毎年の事業費(単位:千円)
H29 |
159,000 |
H30 |
116,000 |
R1 |
106,000 |
R2 |
106,000 |
R3 |
30,000 |
この5年で約5億円の税金をつぎ込んだわけですが、その効果はどうだったのかを聞いたところ
5社の進出があったという答弁でした
プログラム自体のHPを見ると、応募企業833社・資金を獲得した参加企業71社・調達額合計110億円と大きく書かれていますが
神戸進出は5社のみ
またこの5社についても、本社が神戸に進出するのはたったの1社だという事です
(この1社についても、この質問を本会議で行うと言った直後である3月24日に本社移転が発表された、質疑が3月29日なので 移転がたまたまその時期に予定されていたのか、急いで移転してくれという話があったのか?分からないが、もし急かされたのであればちょっと意味が分からない事態である。進出してくれた企業さんにはこころより感謝申し上げます。)
↑500startups神戸HP
いや、、、ちょっと待ってくれよという 驚きが第一印象で
次に、もっとしっかりと見ておかねばならなかったという市民の皆さんに対する申し訳なさでいっぱいになりました
下記が、500Startupsで神戸市へ進出してくれた企業の一覧です
企業名 |
本社 |
参加年 |
拠点種 |
神戸人員 |
Hacarus |
京都 |
2016 |
拠点 |
0 |
T-ICU |
芦屋⇒神戸 |
2018 |
拠点⇒本社 |
19 |
ELXR |
シンガポール |
2018 |
拠点 |
1 |
Splink |
東京 |
2019 |
拠点 |
2 |
NEL |
米国 |
2019 |
拠点 |
2(予定) |
重ねてこれらの企業さんには、本当に感謝していることは申し上げておきたい
表のとおり、T-ICUさんのみが神戸に移転いただいたわけですが
他は違いますし、参加企業71社の大半は神戸に来て資金を調達しただけという事になります
参加企業は神戸に来て滞在しますし、神戸で支援があるという事を聞いた企業は神戸に対してポジティブなイメージを持ったかもしれません
そこには、目に見えない神戸への効果はあったとは思いますが
はっきり言って、5億円を投入して得たものは少なすぎるのです
29日の質疑で、この効果の薄さと本社にターゲットを絞って企業誘致をするべきと
市長に対して申し入れしましたが
「スタートアップの支援をする街だという高い評価を得る事が出来た」
「本社機能の誘致は難しいが、指摘も踏まえて検証・取り組みを進めたい」
という答弁でした
まさに、検証は必要でしょうが、5年やってきて気づかなかった私もザルでしたが、神戸市の税の効果的な使い方に対する意識の低さが改めてよく分かりました
企業誘致だと言ってやり出したのはいいものの、早々に手段が目的になってしまったわけです
改善するという意味の答弁でしたから、期待はします
今後は、神戸市が行うこのような施策については
全て神戸市に本社を置くか、少なくとも支援した事業に関する事業所の設置は義務付けるべき
また、市等が直接出資を行い、利益を市に還元させる事を申し入れさせて頂きました
税金を投入する方法として、出資するという事については外郭団体が増えて困難だという話をする方もいますが、私はそうではないと思います
神戸市が直接出資し、本社を神戸に置き、社員は神戸に住むのです
事業が成功すれば、税収も増えますし、配当利益も得ることが出来るでしょう、また上場させる事が出来れば創業者利益も得ることが可能です
それらで得た資金を、市民に還元する事も出来ますし、再度投資を行いさらに企業誘致を促進する事も出来ます
当然、失敗もありますが、当該企業が事業を行う間は少なくとも神戸市に経済効果はあるのです
例えば、市民一人あたり100円の負担で新たな投資資金を確保すれば、年間1億5千万円のまとまったものになります
何の効果があるかよく分からない広告宣伝費を出すよりも、事業が実際に市内で行われ、雇用が増え、市民利益が高まるのであれば、こういった税の使い方の方が上策です
神戸市会議員
五島だいすけ
3月29日 本会議一般質問