今朝の神戸新聞朝刊に
「神戸中央市民病院 外来患者3%に抗体 1000人調査」
外来患者1000名に対して
新型コロナウイルスの抗体検査を実施
抗体検査とは、いまウイルスがあるかないかを検査するPCR検査ではなく
ウイルスが体内に入り、対する抗体が出来ているかどうかを検査するもので
この検査では 3月31日~4月7日の8日間
ウイルスと戦いながら短期的にできる短期の抗体IgM抗体と
戦った結果、しばらくして体内に作られ、いわゆる免疫と言える長期の抗体IgG抗体のうち
IgG抗体の有無を検査
一般外来に来て血液を採取したものに対して検査を行い、採血された患者には抗体検査の事は告げておらず、結果も話していない、なお、このような検査に法的な問題はないと言う事である。
私は、昨夜行われた記者会見は見ていないが
結論として、この発表は3%の抗体保有者がいたため
神戸市民に換算すると151万人中、約4万1千人が既に感染していた可能性があるという事であり
4万人は既に抗体があるので、外出してもいいとかそういう話はなく
単純に数値が報告されたというものであった
ここからは私見です
あらためて
新型コロナウイルスで被害にあわれた方と現在闘病中の方には心よりお見舞いを申し上げます
誰しも、PCR検査の数自体が少ない事から、実数として出ている感染者数よりは、実際の感染者が多いであろうことは予想していたし
「2月以降に、変な風邪を引いた。例年と違う風邪だったので、あればコロナだったのでは?」という声も多く聞かれている
以下に私の考察をお書きしますが
この論部は2020年5月3日時点において査読前論文をもとに行うものであることを述べておきます
それではまず
◎感染者数は多いのか少ないのか?
という事を考える必要がある
この抗体検査の結果、可能性として多くの方が感染していたという事だが
それは、4月7日時点での陽性患者が市内在住者60人と発表していた事に対して、実は4万人も感染していたとも言える
アメリカのNY州のように、抗体検査の結果(4月27日)14.9%が感染しており、人口換算で
1,945万人×14.9%=290万人が感染
NY州ではさらに感染率が高く、市民の4人に1人は感染している(NY市人口840万人)
また、いわゆる集団免疫を獲得したと言えるのは、国民の6割=60%が抗体を持つ必要があると言うが、3%では60%には全く届かないともいえる
これらの事からは、集団免疫獲得に至る道を考えた場合、推測3.3%の感染率はまだまだ低いと言えるだろう
上記は4月8日発表の神戸市の感染者数等
7日の時点で、感染者は59人、死亡者は0であった
◎死亡率は実際は低いと言えるのか?
これまでも、年間の死亡原因と比べて、新型コロナウイルスでの死亡者は少ないのではないか?という話がネット上などでは多くされてきている
実数での感染者と新型コロナウイルスの死亡率で出した死亡率は
例えば日本・米国・イタリアの場合であれば
日本 感染者数 14,877人に対し 死亡者 517人 死亡率は3.5%
米国 感染者数 1,157,782人に対し 67,046人 死亡率は5.8%
イタリア 感染者数 209,328人い対し 28,710人 死亡率は13.8%
(https://news.google.com/covid19/map?hl=ja&gl=JP&ceid=JP:ja)
この数字だけでも、日本の死亡率は他国と比較した場合には低いと言えるが
抗体検査をふまえて、推定感染者数で考えた場合の数字で比較したいところだが
感染率は国内で考えても地域ごとに違うだろうし、抗体検査の時期もそれぞれ違うため、ちゃんと比較できる情報が存在しない
このため、推測の上に推測を乗せて話を無理やりに作ることになるため、信頼性は低いものとしてお読みいただきたい
まず、NY州での感染者の推計は、14.9%が感染者だと仮定した場合上述のように
NY州人口1,945万人×14.9%=290万人 死亡者が18,610人(5/3なので同期しないが)
死亡率は0.64%になる
神戸市でこれをやろうとしても
だいたい、4月7日時点での神戸市のコロナウイルスが原因の死亡者はないため
神戸市では4万1千人が感染しても誰も死ななかったという事になるが
本日5月3日時点における死亡者数5名と、4月7日時点の推定感染者数41,000名で計算した場合
神戸市での死亡率は、0.01%となる
大都市ほど、感染率も高いであろうから、東京では現状最低でも神戸市と同じ推定感染率で計算しても
東京都の人口1395万人の3.3%は、46万人 都内類型の死亡者141人で計算すると
東京都の死亡率は0.03%となる
これは4月7日の時点での推定感染率であるため、5月3日時点の感染率は推測できていないが
それでも死亡率はかなり低いものであると言えるし、感染率は通常増加すると考えられるため上述した死亡率よりも現時点では低い数値であることが推測される
感染者数の増加率と同様に推定の感染率も増加すると仮定した場合
神戸市の4月7日の感染者59名 5月3日の感染者数255名でスライドさせると
5月3日の感染率は14.2%になるが、4月8日から緊急事態宣言で外出自粛などもされているため、この推測は少し乱暴かと思う
◎BCGが効果を発揮しているのか?
新型コロナウイルスによる致死率がBCG接種国で低いのではないか?
日本はBCGに守られているのではないか?
という説がある
この数字を見る前から感染者が少なかったことから、そうではないのか?
という話がされていたが
日本の場合はPCR検査数が非常に少ないために、それだけで比較する事は出来ない
今回の数字の発表で、推計率が合っているのであれば
感染者は多いが致死率は低いという事は少なくとも言える
日本の医療は確かに他国に比べて発達しているので、PCR陽性になってからの対応は優れているが
市中感染が広がっていたが、医者にかかる前に治っているか、無症状で抗体を獲得していると思われるので
致死率の低さは医療が発達しているという事とは相関はないと考えられる
この件については、私は専門家でもなんでもないので、BCGとの関係があるかどうかは分からないが
やはり日本で致死率が低い事には何か原因があるという事は言えるのだろう
◎ただしくおそれる事につながる
以前から、PCR検査と抗体検査を多くするべきだと私は主張してきている
PCR検査を増やすべきだというのは、風症状や発熱などがあり「これは何なのか?」と思っている人が、家族やその他の人に感染させてしまうのを避けるためので
検査体制が強化されれば、適切な隔離と感染防止につながるからである
4月2日の厚労省通知から、宿泊所や自宅待機が可能となり、必ず入院する必要がなくなっているので、これが可能になったと考えられるからだ
一方、抗体検査については
ここでお話しているような実際の感染者や死亡率を明らかにする事で
このウイルスの正体と毒性の強さなどを明らかに出来ると考えたからだ
今回、市民病院が前もって実施してくれていたので3.3%という数字が出たため、一考する元データになったと思われる
今回の検査結果では誰が4万人抗体を保持しているのか?分からないので
「あれがコロナだったか、あの程度か」と実感できる人は少ないが
推計の死亡率は上述したとおりかなり低いものであるため
既往症が無い方などは
感染者が全員死に直面するほどに恐れることはない病気であると考えられる
ただし、突然変異して毒性が強くなるような事も考えられるし、海外での新型コロナウイルスが日本での新型コロナウイルスと同型である保証はないし
また、既往症のある方や、高齢者に感染させてしまうおそれはあるため、外出自粛は引き続き要請された通りに頑張っていく必要がある
油断すれば、
感染者が増加して医療崩壊という事になってしまう恐れは存在している
◎スウェーデンのようにノーガードで撃ち合えるか?
よく各国のコロナ対応で出てくるのが
当初の集団免疫獲得に向かった英国や
ほぼ外出自粛などを行っていないスウェーデンなど
極端な言い方をすれば、感染する人はするし、治る人は治るから何もしない
というような考え方だろうか
ただ、英国に関してはこの方針は途中で取りやめになった模様
今回の調査で、致死率の低さが一つの情報として分かった事なのだが
ではスウェーデンのようにノーガードで自粛も何もしなくて良し!としても大丈夫か?
これも政治判断になると思われるが、答えとしてはノーガードは無理という事になるだろう
高齢者や既往症のある方にとっては恐ろしい病気であることに変わりは無いし
重症患者の数が、現在の医療システムで持ちこたえられる数に収まるという保証は無い
感染率をコントロールして重症化率を適切に見積もりできるのであれば制限付きでガードを下げることも一つの選択肢となりえるかもしれない
免疫暴走という事もあるので
抗体の保有=免疫の保有=ウイルスに暴露しても大丈夫
という事にはまだつなげられないと言う話だろう
◎経済活動の再開の材料になるか?
経済活動や、学校園はいつ再開できるのか?という出口戦略は実際に必要だし検討しておかなければならない事項である
いまのところ
感染者が完全にゼロになる日はいつの事だかサッパリわからないし
日を追うごとに経済は疲弊してきている
また、一部の私学以外では、友好な双方向遠隔授業は全く実現されていないし
営業自粛している事業者の固定費や生活費を補償することは出来る見込みが立っていない
何らかの指標をもって、制限をかけながらでも経済と教育を再開しなければ
それこそ新型コロナに罹患して死亡するよりも、経済的に死亡する下図の方が日本では多くなってしまうと思われる
集団免疫を獲得と言われる60%抗体保持には程遠い数字であるし
個人個人の抗体の保有量にも差があるため
実際それまで待つという訳にはいかないはずだ
そして、5月末まで緊急事態宣言が延長されるのが濃厚だが、この市民病院の発表でそれが覆るとは思わない
このようなデータは既に政府は当然持っているはずであり、これも含めての検討が行われていると考えるのが普通だからだ
ノーガードで撃ち合ってもよいか?で述べた通り
この調査での3.3%抗体保有という結果だけでは、現状で経済活動を再開させるという決定打にはならないと思われる
ただ、死亡率がある程度しっかりと明確になると思われるので、重症化してしまう方へのケアと、病床の確保による医療崩壊の防止をしつつ
経済活動の再開へ舵をきっていく必要があるのは事実であると思われる
どの時点でGoをかけるかというのは、ウイルスや統計学の専門家と各病院の能力と現状をしっかり勘案して決めて頂かなければならない
また、寒くなり人間の免疫力が落ちる時期、秋以降にくるであろう第2波への対策も必要だ
◎神戸市では何をすべきか?
医療スタッフには進んで抗体検査を受けていただくべきだ
これだけの推測が出たのだから、より感染リスクが高い医療現場のみなさんは
感染し抗体を持っている率が、通常より相当高いと思われる
心理的ストレスを強く抱えながらの勤務をして頂いており
このストレスを軽減させてあげあられるとも考えられるし
抗体検査により抗体の有無を確かめ、業務の配分などに活かすことも考えらえる
そして
PCR陽性で症状が出てから 抗体検査にてIgG陽性になる率や
PCR陽性で症状がない場合に IgG陽性になるのかならないのか
そもそも無症状であったが IgG陽性になるのかならないのか?
等、色々なことが分かると思われる
また、このような調査は
全市的に行い、しっかりとした調査データを取っていくことが今後の為に有効であるし
市民である我々も協力して行うべきであると思われる
ともかく、まだ全く安心していい状態にない事は確かであるので
緊急事態宣言に基づく自粛を我々がしっかり協力・継続し少しでも感染者を減らす努力をしていくべきことに変わりはないと思いますので
引き続きのご協力をよろしくお願い致します
頑張ろう神戸!!
神戸市会議員
五島だいすけ