2019年7月 三宮クロススクエアの実現のため大規模な車線減少を含む社会実験がなされました
この決算議会において、このクロススクエアについて質疑をさせて頂きましたので、今回ご報告をさせて頂きたいと思います
そもそも三宮クロススクエアとは何か?
また、7月の社会実験の結果はどうであったのか?
メリットやデメリットなどについて意見を述べさせて頂きます
〇クロススクエア計画とは何なのか
〇7月の社会実験の結果は?
〇クロススクエアを整備するメリットは何か
〇クロススクエアを整備する問題点は何か
〇どうするべきなのか?
という順でお書きします
そしてまず最初に述べさせていただきますが
私はこの計画には否定的な立場です
そのあたりの理由も書かせて頂いております
長文になりますがお読みください
〇クロススクエア計画とは何なのか?
まずクロススクエアとは何かをおさらいします
(神戸市HPより)
「三宮クロススクエア」は、神戸の玄関口である三宮駅周辺で目指す、神戸の象徴となる新しい駅前空間「えき≈まち空間」の核となる取り組みです。
三宮交差点を中心に税関線(フラワーロード)と中央幹線の一部において「人と公共交通優先の空間」を創出することで、「えき」と周辺の「まち」をつなぐとともに、日常的なにぎわいを生み出します。
このイメージは、三宮交差点(そごう・マルイ・JR・交通センタービルのある交差点)
から南側向けのイメージです
人と公共交通中心の空間という事で、乗用車がない、歩行者とBRTが映ったイメージになっています
神戸市は、この三宮交差点を利用している通過交通たる車両を迂回させ、このスペースにこのような空間を創出し、世界に冠たる国際都市神戸にふさわしい駅前空間を作るというものです。
計画では、阪神高速湾岸線西伸部の開通などとあわせ、通過交通の排除と歩道の拡幅を段階的に進めていくとしています
これが現在のイメージ図です
これは交通センタービルから大阪方面を見た(西から東を見たイメージ図)ものです
まず第一段階目、2025年ころを目標
現在は右折レーンもあわせて10車線あるレーンを6車線まで減少させるイメージです
7月に行われた社会実験もこの車線数を想定しての実験でした
次に第2段階、2030年ころを目標
片側1車線にまで減少させるとしています
そしてこの後の将来像が当初示したイメージ図で、この三宮交差点に車両は侵入禁止になるとしています(何年後かは示されていません)
このように、段階的に三宮交差点の車線を減少させていき、最終的に車両侵入禁止の歩行者空間を整備するのが三宮クロススクエア計画です
〇社会実験の結果はどうだったのか?
社会実験は7月いっぱい行われました
主に、ミント神戸南側を車線減少させ、取り組んだわけです
写真では分かりにくいかもしれませんが、かなり混雑したとされる7月3日の夕刻
ミント神戸南の陸橋から東側を撮影したものです
当日は三宮交差点から生田川あたりまで渋滞が続いていたという事でした
実験結果としては
「部分的に課題は存在したが、恒常的な渋滞は見られなかった。詳細についてはデータ解析中」
という事です。
これについては、様々な意見があると聞いています
「確かに、実験終盤に向けて渋滞長は緩和されていった」という話もあります
「いやいや、渋滞していて我慢ならなかった」という声もあります
私のもとには、後者のご意見が多いです(だから否定的なのですが)
〇クロススクエア計画のメリットは何か
さて、当該計画は、我々の神戸市でも最も交通量の多い交差点に車を入れないものです
市の説明では、通過交通を排除する事で自動車交通は無理なく捌けるようにするという話ですが、果たしてこの道路を今使っている人からすると、迂回しなければならなくなるお話です
そして当然、迂回のための実験や道路整備など様々な経費がかかる訳で、これに見合った費用対効果が求められます
予算額は不明、効果も不明では市議としては何がしたいの?という話になります
そこで、具体的なメリットと費用対効果を2019年の10月決算議会で聞きました
この計画の具体的な効果・メリットは何か?という問いに対して
「現在、都心再開発と合わせた経済効果を算出中です」
という事で、現状においてこの計画に具体的な効果が検討されていないという
これは大問題であると指摘をしました
予算規模不明、具体的な効果不明という事です
政策を考えるとき
大きな効果を得るためであるとか、大きな問題点を解決するために
どれほどのデメリットがあり予算が必要なのか?
こういう事を勘案して、やるかやらないかを決めるものであるが
この計画にはそれが存在しないのです
手段が目的になってしまっているのではないだろうか?と思います
実行したら悲劇です
〇クロススクエア計画の問題点は何か
メリットに比してデメリットが大きい場合、計画は進めるべきではないでしょう
考えられる問題点としては
・渋滞
まず渋滞です
実験結果では「恒常的な渋滞は見られなかった」という事ですが、恒常的とはずっと混雑しているという事です。大体において大阪環状線でも渋滞で悪名高い阪神高速3号神戸線の摩耶付近においても、恒常的には渋滞していません。
実験中に三宮付近に車で出かけられた方は身をもって体験されたと思いますが、非常に渋滞がひどかった記憶があるはずです。
だいたい、神戸に住む方ならわかると思いますが、神戸市の都市部を東西に抜けようとすると
(水色で示した)山手幹線か
(赤色で示した)中央幹線か
(オレンジ色で示した)浜手幹線か この3本の道路しかないのです
通行量についても、この3本の道路のうち最も多いのがクロススクエア計画で閉じてしまおうとしている中央幹線で、ちなみに今回社会実験の前段階において計測された1日(12時間計測)の断面交通量は
山手幹線 16,452台
中央幹線 26,389台
浜手幹線 17,535台となっています
浜手幹線の上空を走る浜手バイパスについても、浜手幹線とほぼ同じ交通量があるという事です
この、中央幹線を通る車両は通過交通が多いため、迂回をさせることで交通量減少は可能であり、従ってクロススクエア計画は実行可能であるという予測が立てられていますが
この後日、浜手バイパス東行がリフレッシュ工事のため数日間通行止めになったのですが、そのときは、浜手幹線のみならず、中央・山手幹線までひどい渋滞にみまわれ、移動するのに以上に時間が必要でした。
つまり、浜手バイパスの東行きの車両である10,000台弱の交通量すら他の道路で捌けない訳です。中央幹線の26,000台をどう迂回させるのか?
まあ仮に迂回を強行する場合はかなりの道路・交差点改良を行う必要があり、その予算は本当に必要なのか??という話にならざるを得ないのです。
・緊急時のアクセス不全
これは渋滞そのものとリンクする話かもしれませんが、上述のとおり、東西の幹線道路は3本しかない神戸市で、事故があった場合、災害などで何かがあった場合など、バックアップとなる道路が少ないことが人命救助や物流を阻害し都市の機能不全を引き起こすことになります
他都市のように、それこそう回路が沢山ある都市であるならば、道路の1本くらい歩行者空間化しても問題なしと言えるかもしれませんが、地形的に山と海に挟まれて南北が狭い神戸ではそうはいかないのです。
・クロススクエアは広すぎる
「駅前の歩行者化は世界の潮流」こういう論調でNYタイムズスクエアなどを例に出して説明をされますが、はっきり言って都市は成り立ちも規模もそれぞれ違います
NYと言ってもタイムズスクエアのある中洲のような場所はマンハッタン区と言い
広さは59.1㎢ 人口163万人となっており(昼間人口340万人)
タイムズスクエアの歩行者空間面積は約10,000㎡
神戸市の中央区は
広さは28.4㎢ 人口13.5万人となっており(昼間人口28.5万人=H27国勢調査)
クロススクエア計画の最終段階の広さは36,000㎡です
神戸市全市では人口152万人 広さ552㎢ 昼も夜も人口はほぼ同じ
どう考えても広さの設定が大間違いです
皆さんに想像いただきたいのは店舗や商店街の広さです
広すぎる空間はヒマさを感じさせ商売はうまくいかないですよね?狭くて流行っている店が店舗を広げて客が入らなくなるなんて話よくある事です。
最終的に36,000㎡に対する何らかの具体的なニーズがあれば別だが、そんなものは存在しない。「この広さは必要か?」という私の9月25日の代表質疑で答弁されたのは
「段階的に広げていく中で考える」というものでした
最終段階に具体的なゴールがあり、そこに向けてホップステップとしていくのが段階的政策です。最終的に具体的な目標もないのに何が「段階的に進める」なのだろうかサッパリ分からないのです
さらにちなみに言うと、東京駅の丸の内広場が新たに整備されましたが、その面積は24,000㎡
JR東京駅の利用者人数は46.7万人、JR三宮駅は25万人です
東京よりも断然人は少ないのに、駅前広場の面積だけ勝ってどうするのでしょうか・・・
広さについての根拠は全くなく、事業性もない。
三宮駅の前に三宮交差点があるから、ここを歩道にしようか?くらいの思い付きではないか?とさえ思われます。
これはNYマンハッタン島中心部の地図ですが、ご覧いただけるように東西南北に碁盤の目のように道路が発達しており、神戸と道路のつくりが全く違う事がお分かりいただけると思います。
そして、件のNYタイムズスクエアは、この東西南北の道路ではなく、ブロードウェイという斜めに通っている道路なのです。このような道路であればそれは迂回も我慢できるとは思います。
この上の地図で、赤く示したのがタイムズスクエアの歩行者空間です
東西南北のメイン道路でなく、ななめに通っている道路です
・三宮交差点を閉鎖して余剰する道路の使い道がない
三宮交差点を閉鎖した場合、もしくは車線減少を行った場合には、渋滞のボトルネックが三宮のど真ん中になるという考え方もできるが、そこに至る道路の広さ=幅が不要なものであると言えます
つまり、閉鎖してしまった場合においては
三宮交差点を中心として
北は新神戸、西は神戸駅周辺、南は国道43号線、東は生田川周辺まで、現状の車道の幅は全く必要がなくなります
これまで、交通アクセスを改善するために拡幅などを行ってきた道路が不要になってしまうが、この使い道についても質問したところ
「余剰する道路については歩行者空間化することも考えられる」
という答弁でした
当然、クロススクエア事態に具体的効果を見いだせていないので、このような答弁になる訳だが、クロススクエア36,000㎡自体の使い道が明確でないのに、余剰する道路の使途など決まっているはずもない。これまで作ってきた道路の事など考えられてはいないのです。
〇ではどうすればいいのか?
具体的な政策効果も検討されておらず、予算規模もはっきりしない
ではどうするのか?
こんな話やめてしまえ!というのは簡単です
ですが
「街の中心部に歩行者空間を創出し、街の賑わいをつくり、良好な商業地環境を整え、企業誘致にもつなげていく、歩行する事での健康づくりにもつなげる」
これは私が勝手に考えたものですが
こういう目的においての政策は是非やるべき事です
現状 2018年に、全国市町村のなかで最も人口が減少してしまった神戸市としては
このような具体策は明確にかつスピーディに実行する必要があります
いまのクロススクエア計画のように、広さの根拠なし、デメリットばかり大きい、そして、最終形態の具体効果もなく、30~50年後?の餅を絵に描くのではなく
3~5年後に結果が出る政策こそ必要なのです
優秀な神戸市職員のみなさんも、自分たちが死んでから実現するのかどうか分からないような計画よりも、短期~中期に実行と結果を得られることに対して努力をしたいはずであり
我々市民もそういうものを見たいし、期待しているのです
20~30年後の人口減少を防止し、神戸に人を惹きつけるためには、いつ出来るか分からない絵よりも、いま出来る対策の方が重要なのです、そう思いませんか?
歩行者空間をつくるならどこなのか?
これまた私が勝手に提案させて頂きますが
そういう場所をつくるなら、例えば大丸北側の三宮中央通りの一部であったり、神戸駅の北側ロータリーではないでしょうか?
例えば、三宮中央通りの一部はここ
大丸北側の東向きの一方通行道路の一部です
大丸の東端から京町筋の北側までの区間です
ここならちょうど三宮と元町の中間、ショッピングをする中心地であり、自動車の走行量も中央幹線などと比べるべくもなく少ない道路ですし、迂回もしやすいです。
トアロードの南向きも、京町筋の北向きもはそのまま通行できます。
もう一つが神戸駅の北側
北側というか西側という方が正確かもしれませんが
老朽化したバスロータリー等もあり、リニューアルする価値があります
そして、せっかくの楠公さんという素晴らしい資源がある中、駅前からの導線が悪いので
ここを再整備して門前町のようにすれば素晴らしい観光資源が完成するだろうと思われます
どこに?という話からそれてしまいますが
震災復興事業として行われているルミナリエ
これこそ、今のコース(大丸側から東遊園地に向かい東向き)を改め
フラワーロードを北から南向きに東遊園地に向かうコースに変更したらいいのです
現状コースで行うために、近隣商業施設から苦情が多い事などもあり、開催期間が年を追うごとにどんどんと短くなってしまっており、設備費の回収もままならない状態が続いています
神戸阪急とマルイの間から南側のフラワーロードを12月いっぱい車両通行止めにするなどの試みを行ってみたらどうでしょう?
これも何度も提案させて頂いていますが、前に進みません
クロススクエア計画をやる前に、ルミナリエを南北でやるくらいの事を見せて欲しいものです
クロススクエア計画の議論はかなりの長期間にわたり続けてきましたが
私のように三宮駅前に・・・という計画に否定的な者もいれば、賛同する立場の議員もいる
もちろん、市民の皆様にも、賛否はあるだろうと思います
このようなときにおける意思決定はとても大事なことであると思います
私は、市民のみなさんの声に従い、この計画については問題点をしっかり議論し、勇気をもって変更などして頂けるように、苦しい立場ですが取り組みを続けたいと思います
みなさんはいかがお考えでしょうか??
神戸市会議員
五島だいすけ