ランチの後は、ずっと行きたかった
藤田嗣治展
没50年の記念の展覧会。
上野の東京都美術館です。
今回は、生涯の絵が年代順に並んでいる。
芸大時代のまだ藤田らしくない風景画などから始まる。
パリに行ってからの絵がおもしろい。
モディリアーニの影響を受けた女性の絵がいくつか。
この少女、晩年に出てくる絵と共通してる!
ひたいの大きな童話のような女の子
そして、自画像。
これもまたいくつか展示されていて比べてみると面白い。
芸大に日本の画一的な画壇の社会に反抗した斜に構えたフジタ、
パリに渡り第一次世界大戦で混乱し、お金もなく自信のない時代のフジタ、
パリで成功しだし自我がしっかりしたフジタ、
第二次世界大戦も終わり最後の日本時代のフジタ
激動の生涯を送ったフジタの自画像。
だから、自画像の中にもコレクションの絵皿やパイプ、暖簾ややかん、絵を書く際に愛用した面用筆などが細かく書き込まれる。
見ていて楽しくなります。
私も小物が大好きなので、妙に共感しちゃいます。
だから、彼が静物画を描くとこんな愛溢れる絵に。
乳白の肌
が登場。
一躍有名になった藤田に来た肖像画の依頼。
銀箔を使ったアメリカ女性の肖像画、
そしてセンセーショナルな時代の寵児キキの裸婦画
黒の背景と乳白の肌のコントラストの美しさ。
むしろ淡い色合いの中でも美しさが際立つタペストリーの前の裸婦。
そして、何よりも嬉しかったのは
裸婦の群像画です。この右側の絵は大原美術館で出会ったもの。もう一度見たくて行った時にはなんと展示されておらずショックだった。
で、今回の展覧会で理由がわかりました。
修復してたんです!
乳白の絵はいったん第二次世界大戦の時はお預け。
戦争画を描くことを余儀なくさせられたフジタ。
今回はその戦争画も二点ありました。
アッツ島玉砕とサイパンの絵。
想像以上の大きさ、そして絵全体からくる戦争の悲惨さ、現地で戦争の真実を体験した人でないとかけない迫力、、、
こんな絵をフジタが描いたんだ、
あのお調子者と言われたフジタが。
そして戦後処理でスケープゴートにされかけ、戦犯に問われそうになり日本が嫌になったフジタ。
日本を離れ、パリに戻りたくても中々戻れずに、ニューヨークにいた時に描いた絵で、また乳白に出会えます。
パリの良き時代を思い出させるカフェの絵
もう日本に戻ることはない。
そして、キリスト教の洗礼を受ける。
そんな藤田が描いた絵
晩年はフジタはたくさんの子供の絵を描いた。
童話の世界のようなひたいの大きな造形の子供たち
フジタ好きな私は今までも藤田嗣治の展覧会に色々と行っているので、見たことがある絵も多くあった。
でも生涯を通してここまでの絵を観れたのは初めて。
激動の生涯、戦争の苦難の時代を生きた藤田嗣治だけど、根本の人間性になんとも惹かれ、どの時代の絵も私は好き。
フジタという人に会ってみたかった。