ケンジグループのOBからメールが届きました。
とてもグッとくる内容だったので…
この場をお借りして皆さんと共有できたらたな。と思い
書かせて頂きます
突然ですが、一昨日、昨日と
被災地に美容師ボランティアに行ってきました。
美容師の手が足りないということだったのでハサミと、
行くのがちょっと怖かったので、社長からもらった
コームを勝手にお守りにして行ってきました。
いろんな方からいろんな話は聞いていると思いますが、
話さずにはいられなくて突然のメールです。
それはそれは本当に今まで見たことのない、恐ろしい光景でした。
私が行ったのは宮城県女川町ですが、
そこに行く途中で石巻市を通りました。
石巻市も場所によって被害の大きさが違いますが、
酷いところでは車が突き刺さったままだったり、
車で通るのも大変なくらいなところもありました。
どうしてここにこれが?という光景がそこら辺に広がり、
家や車はもちろん普段は家の中にあるであろうものは
全て水に浸り、泥で汚れて山のようになっていました。
女川町は石巻市から海岸線をつたい、
少し離れた小さな町です。
地震による影響で地盤が沈んだのか、
潮が満ちると冠水してしまうところがあり、
私たちが向かっているときにちょうどその時間に差し掛かり、
初めて自分のいる陸地と海の水面が同じという光景を見ました。
水がジワジワと迫り、車でそこを突破しながら実際の津波を想像したら、
どれほど恐ろしかったんだろうと思います。
女川町に入った瞬間、石巻市でみた光景とは、
全く違う被害の大きさを感じました。
原型をとどめているものは何もありませんでした。
まさに壊滅的な被害です。
女川町は海と山に囲まれた
美しい町であったに違いありませんが、
不幸にもその地形によって、押し寄せる波の逃げ場はなく、
水位はどんどん上がり、波が渦を巻き大暴れをして
全てのものを持っていってしまったんだと思います。
水が来たであろうと思われる跡は、
普通の建物の三、四階部分は軽く越え、
そんな状況で実際どこに逃げたらいいのか、
どれくらいの人が助かったのか…考えただけで怖くなりました。
震災後数週間が経っているため、
道路が各避難所まで開通していましたが、
それですら相当大変な作業であっただろうと思います。
散らばって瓦礫も普通では考えられない状態です。
波の力がどれほどのものか、人間の作るものなんて
自然の力にしてみれば、こんなにももろいのかと思います。
避難所に行ってみて、やはり一日も早く十分なライフラインの復旧と、
避難所生活からの解放が一番必要だと思いました。
瓦礫をよけて何とか作られた道路の脇には
まず電信柱が立てられ初めていました。
自衛隊のヘリコプターが発着する度にものすごい風と音です。
世界各地からも救助隊が来ていました。
瓦礫の中から何とか見つかった写真などがたくさん置かれていたり、
自衛隊が金庫とかそういうものを探して持ってきてくれたりしていました。
お水はなんとか出ていましたが、
全てのトイレが水洗ではないので紙は流せません。
臭いしとてもきついです。
避難所も人が多くて、何しろお年寄りが多かったです。
電力は自家発電でやっていましたが、
使いすぎるとすぐに飛んでしまい、館内アナウンスで
暖房器具の使用禁止が流れます。
でもすごく寒いんです。
お風呂は自衛隊が仮設で外に作ってありましたが、
当然ドライヤーは使えず、
女性はみんな濡れたままの髪で寒い中を歩いていました。
そこには遺体安置所も設けられていて、
といっても野球場に屋根だけのテントが張ってあるだけです。
その日には、かなり強風だったのでテントは
骨組みから風に飛ばされ、グランドからは砂埃が飛んでいました。
食事は1日二回、何をするにも整理券を配り、
なるべく混乱をさけるようにしているみたいです。
せっかく行くから何か持って行こうかとも思いましたが、
みんなに平等に行き渡る状態にしないと物資も受け取ってくれません。
美容師3人と地元の美容師の計4人でやりましたが、
時間も限られていたので募集人数も少なくて
整理券は数分でなくなりました。
ある程度の時間が流れているため、
被災者のみんなが現実を受け入れようとしているのか、
自分はこんな被害を受けたよと話してくださる方もいました。
ただ、話の内容はレベル違いです。
そんな大切なものをなくしているのに、
サラッと話せるものなんだろうか…と思うことばかりです。
何も失っていない人は一人もいません。
これが1週間前だったら、
髪を切りたいと思える人はもっと少なかったかもしれません。
こちらからかける言葉はもちろん何もありません。
ただ伸びている髪を切る、それだけをしてきました。
ボランティアの人達は、避難所に寝ることはできません。
みんなで外でお湯を沸かして、
凍えながらカップラーメンを食べました。
電気がないから本当に真っ暗で、
夜ってこんなに暗いんだ…と思ってふと空を見上げたら、
生まれてから今までで一番綺麗な星空が見えました。
あんなにたくさんの星は見たことがありません。
1日の中で、今までで一番最悪な光景と、
今までで一番綺麗な光景をみました。
どちらも同じ自然のしていることですが、まさに天と地でした。
復興までには、相当の年月がかかります。
もう元通りにはなりません。
それなのに、つとめて明るく振舞い、
こちらを気遣い、ありがとうございましたと
何度も何度も深く頭を下げて、
頑張って生きている人がそこにはたくさんいました。
復興にむけて立ち上がろうと動き始めた人もいました。
無邪気に笑う子供達もいました。
でも、私の見てきたものはほんの一部でしかありません。
震災直後は今よりはるかに悲惨であったと思います。
大変なのはこれからです。
時間の経過とともにいろんなことを忘れて行きますが、
忘れないこと、立て直そうとしている人達を長い目で応援すること、
私は私なりに毎日をしっかり生きること、それしかないと思いました。
今回は、髪を切ることを通してこの機会に出逢いました。
美容師という仕事を通じて感じることはたくさんあります。
ロンドンにいるときもたくさん感じました。
美容師はいろんな場所でいろんなときに、
ハサミとコームと技術で人の役に立ったり、
様々な人と出会います。
世の中が震災の影響でざわついていますが、
新人さんたち頑張ってほしいなと思いました。
もちろん現役の美容師さんもですが・・・・!
という内容でした。
ケンジグループのスタッフにも家族が被災した方がいます。
私たちにできることはなんだろう?
地震があった日からず~っと考えています。
「目の前のことを一生懸命やる」
これしかないんだと思います。
大好きな日本が1日でも早くより以上の日本になるように
共に生きたいですね!
がんばれ日本