お山にはの立枯れのブナが4、5本。
既にコズエ部分は腐りはじめているので、早目に伐採しないと薪として使えなくなってしまう。
今迄伐採するのを躊躇していたのは、経験不足。広葉樹は硬い、太い、重い、そして恐い。
間伐材もそろそろ充実してきたので、いよいよ決心し、ブナの伐採に挑む事にした。
先ずは、足場の確保。お山の木は必ずしも平らな場所に立っているとは限らない。むしろ斜面に立って居る事が多く、逃げ場がない。足場は作業スペースと逃げる場所。
教科書通りの受け口を切りたいのだが、なかなか綺麗にいかない。どうしても浅い受け口になってしまう。やっぱり恐いのだ。思い切って太さの半分程斜めに切り込みを入れ、我ながら綺麗な受け口を作った。やっぱり経験は大事である。
次に追い口。これもなかなかどうして、腰が引けて真っ直ぐ受け口に向かって切れない。一度は受け口の下に追い口を切り、往生した事も有る。
今回はそんな経験を生かして手鋸でガイドラインを引いて見た。引いてわかったのは、追い口を切る立ち位置からは受け口の位置が全く見えない事であった。大体の感覚で適当にやっていた事があらためて判明した。やっぱり素人の独学はダメだ。
後はつるを正確に残す事に集中して追い口を切って行くのだが、おっかなびっくりで腰は引けて、瞬時に後方へ2mは飛べる体制になっている。
いよいよ残したつるがみしみしと音を立てながら、倒す方向を維持しつつ『ズド~ン』と地響きとともに伐採は完了。
腐ったコズエは衝撃で粉々に吹き飛びバラバラになった。
形成層も腐り始めていたが、木部はしっかりしているので十分薪として活躍してくれる。
さて、ここからが正念場。気力は使い果たしたのだが、玉にしないと始まらない。
広葉樹は重いので人力では全く太刀打ちできず、チェンソーで切っていかないと動かすことすらできないのだが、ここでは単純に上から下に玉切りが出来る訳では無い。
倒木は大抵2つの支点で支えられており、その支点に挟まれた中央から切る場合が意外と多い。上から下に何の疑いもなく切っていけば、自重でVの字になり、チェンソーは簡単に挟まってしまう。挟まったソー程何ともならない物も無い。力では抜ける訳はなく、悲しい気分を味わう事数回。クサビを打ち込んで救出するのだが時間の浪費が甚だしい。
この場合は、上から3分の2を切り、下から残りを切り上げるのだが、ここでもソーを素早く抜かないとダメージを受けてしまう。
とにかく色んな状況、状態で切り離す必要があるので、切り方にも経験が必要。支点、力点、作用点の中学2年の物理の原理も頭をめぐらせ、考えて切らないと無駄な時間と労力を要する事を思い知らされた。
後は運搬と薪割りだが、体力はここまで。
薪作りはレジャーである。