昔、ざこば師匠と鶴瓶師匠が、お客さんから出されたお題を
3つ使って即興落語を競い合うという番組があった。
まったく関連のない3つのお題を無理やり落語に仕立て、
オチまで持って行くという、なかなか見応えのある番組。
94年の秋、ある大学の学祭でこの番組を収録したのを見た。
1人の真面目そうな男子学生が、聞いた事もない奇妙な言葉を
お題としてあげた。
「なんやねん、それ」と当然突っ込まれると
「僕の名前なんです。」とフルネームで自己紹介した。
苗字は取り立てて変わった姓ではないが、名前が変わっている。
3人兄弟の長男で、弟2人も非常に変わった名前だったが、
忘れてしまった。
とにかく、彼の名前はお題の一つとして採用されたので覚えている。
学祭で収録したものを放送したので、11月あたりだったろうか。
それから何ヶ月もしないうちに、1995年1月17日はやってきた。
この辺りは幸いにも震度4強から5弱程度だったので、
被害もなく、ただ呆然とTVに映し出される神戸の街を眺めていた。
その日の10日程前に神戸に遊びに行ったばかりだったので、
余計に信じられなかった。
それから2ヶ月くらい経った頃、新聞の片隅に、あの大学が
震災で亡くなった4回生の卒業認定を発表したという記事を見た。
その中にお題として採用された男子学生の名前を見つけ、
しばし茫然とした。
TVで少し見ただけなのに、知らない人なのに、
ショックだった。
身近な人達を亡くしたショックはこの何億倍、いや何兆倍だろうか。
あの日から15年。
神様はなぜ、神戸の大地を引き裂かれたのか。
私にはわからない。