おしゃれバサミの悲しみ。
おしゃれと言いつつ、その実は、鼻毛切りバサミのことだろう。

生産ラインに乗ったハサミたち。

それぞれ、これからの活躍を胸にパッケージにつめられていく。


工作用のハサミや、裁縫用のハサミ。

用途は違えど、同じ釜の飯を食ったハサミたち。


今度会うときは、お互い成長した姿で会おうと別れて行く。

ただ旅だった彼たちも自分の名前は知れどがどのような場面で使われるのかはまだ知らない。


それがわかるのは、購入されて実際に使わる瞬間。

えっ、なんだなんだ。


おしゃれバサミという名前を付けられた彼。

きっとスマートでかつダンディな場面で使われると思っていたに違いない。


えっ、なんだなんだ。なぜ鼻毛を切っているんだ。

マ、マジっすか!


来る日も来る日も淡々と仕事をこなす彼。

こんなはずではなかったのにと思い悩むこともあったかもしれない。


おしゃれバサミの悲しみ。
涙が出るよ。


だが、いつか気付く日がきっとくる。

彼のおかげで、おしゃれを保つことができている人がいるということに。


おしゃれバサミ、聞こえているか。