無気力な毎日を過ごし始めて何日が経っただろう
ある日の夜、事は起こった
「ねぇ、ヒョン?」
ヨンジェは俺を上目づかいで見つめた
そんな目で見るなってば
「もう寝るぞ」
いつものように流そうとしたその時
「ヒョンってば!」
ヨンジェは今までに見たことのないような剣幕で俺に怒鳴った
いつも怒らないヨンジェが年上の俺に怒るだなんて、考えたことすらなかった
「なんだよ」
少したじろぎながら返事をする
「ヒョン、最近大丈夫なんですか?何か最近ずっとおかしいですよ仕事はちゃんとこなしてるけど、普段がすごく無気力というか……
それに僕とも ろくに喋ってくれないし」
マークヒョンと同じようなことをヨンジェも言うんだな。おかしいのは、誰のせいでだと思う?
「僕ヒョンのためにできる事なら、何でも……」
「なぁ、」
「はい?」
「なぁヨンジェ」
もう、全部壊れてしまえ
「お前はそうやって俺のためなら何でもするとか言うけど、本当に何でもしてくれるの?」
「はい」
迷いなく即答したヨンジェ
「じゃあさ……キスとかも、俺がしてって言ったらしてくれるわけ?」
もう、全部終われ
俺は力づくでヨンジェを押し倒し腕を固定した
「ヒ、ヒョ…」
そしてそのまま抵抗するヨンジェを抑えて強引にキスをする
ヨンジェは小さな拳で俺の胸を殴るけど全然痛くないし、抵抗もしているけど、筋肉質でガタイもデカい俺と小さなヨンジェでは力の差がある
「ん…」
その勢いでヨンジェのパジャマをめくりあげ素肌に指を滑らせる。すると、微かにヨンジェが震えていることに気が付いた
まだ少しだけ残っていた理性が俺の手を止めさせた
その途端にガリッと噛まれた唇
ヨンジェから唇を離すと微かに血の味がした
ヨンジェは今にも泣きそうな目でこっちを見つめている
もう、終わったな
「ごめんな、悪い」
そう言って俺は寝室を出た
暗いリビングの中で電気もつけず俺はただイスに座っていた
ボーっとしていると寝室から聞こえる嗚咽の音
アイツ、泣いてるんだ
自分のせいだけど、
お前の泣いてる声なんて聞きたくないよ
耐えきれなくなった俺はベランダに出た
冷たい風が俺の体に突き刺さって行く
いっその事、全てを壊したかった
解放されたかったんだ
……でも、やっぱりできなかった
中途半端に残っていた理性と優しさが俺を邪魔した。何でこう全部上手くいかないんだよ
突然ベランダには雨が降りこみだす
地面にできていた小さな水滴の痕は、雨が滲んで消していった
こういう時、映画とかドラマだったら
「俺の心みたいだ」ってよく言うけど
これは俺の心なんかじゃないよ
……これはきっとヨンジェの心だ