JJの本番まであと1日。ヨンジェとジェボムヒョンはまだ話していないままみたいだった。いつになったら仲直りして二人とも幸せになれるんだろう?そんな疑問を抱きながらも僕は何ともないフリを続けていた。
早く目が覚めた僕は、冷蔵庫からペットボトルを取りだして水を飲もうとしていた
ガチャン、と冷蔵庫を閉めると聞こえてきた声。それはマークヒョンの声だった
「ジニョン」
「おはようございます、ヒョ……」
振り向くとそこにはマークヒョンの顔が。驚いた僕はペットボトルを落としてしまった。幸い、キャップが閉まったままだったから中身が零れることは無かったが、マークヒョンはそんなのも気にせずに僕の体を抱きしめる
「ま、マークヒョン?」
驚きのあまりに声が上手く出せなくなる
「辛そうな顔しないでよ……俺まで辛くなる」
そして腕に込められた力はどんどん大きくなっていく
「ヒョン、もしかして寝ぼけてますか?まだ時間ありますから、もう一回寝たらどうです?」
マークヒョンはそれでも腕の力を弱めることはなく、僕の肩に顔を沈めた。
マークヒョンの体温が直に伝わって来る
「ジニョンはそんな事、言うんだね。必死で我慢してたけど、もう耐えらんないよ」
ヒョンは僕の顔を見ないまま話し続ける
「辛いんでしょ? ホントは無理してるんでしょ?」
図星をつかれてドキッと心臓が反応する。マークヒョンはゆっくりと抱きしめていた腕を解いた
「俺も、ジニョンと一緒なんだ」
そして自嘲気味に笑った
「言ってる意味、わかるよね?」
マークヒョンは僕の目をまっすぐに見つめる
「ジニョンが好きだよ」
また、切なげな声。今まで分からなかった、ヒョンの瞳の奥に映っていたもの。
今はその瞳の中に僕がいる。
「マークヒョ……」
「好きなんだ、ジニョンが。もう我慢できない。そんなに辛い思いしてるジニョンを俺はほっとけないよ」
マークヒョンが、僕の事を好き?
そんな、違うよ 僕は何か夢でも見ているんだ
そんなはず、ない
「これが現実。」
元から近かった顔がもっと僕に近づいてくる。ゆっくり、ゆっくりと。抵抗する暇もなく、あと数センチで唇が重なりそうだ。すると視線を落として動きを止めたヒョン
「ねぇジニョン?本当は何でヨンジェなのって思ってるんでしょ?」
僕の目はしっかりとヒョンを捉えているのに、ヒョンは全くこっちに顔を向けない。それに、その気持ちは少なからずあったものだから、その問いを否定する事すらできなかった
「そんなこと思っちゃいけないって思ってるんでしょ。俺には分かるよ、その気持ち」
それは
「一緒、だから」
『一緒』きっと僕と同じようにマークヒョンも傷ついてるんだ。でもその傷を癒すことなんて、僕にはできないよ。
「なんでジェボムなんだよって。思ってるから」
中途半端なのが、一番ダメなんだ。
僕は……まだ、他の人のことを考えるなんて
「ヒョン……でも僕は」
ジェボムヒョンが好きだから、なんて言う隙も与えずにマークヒョンは僕の唇に触れた。
マークヒョンの、唇で。
後頭部が抑えられていて、離れることができない。密着した体からトクン、トクン、と規則正しい心臓の音が聞こえる
どれくらい経ったのかは分からないけど
いつの間にか離れていた温もり
「ジェボムヒョンが好きだから、って言いたかった?」
少し泣きそうな顔でマークヒョンは僕から距離をとった。何故かそのヒョンの顔を見ると胸が痛んだ
「急にキスしてごめん、これじゃただの嫌な奴だ」
声を出そうと思っても、思うようにいかなくて
「でも、別にまだ答えは聞いてないから……まだジェボムの事好きでも、いいから。」
マークヒョンは僕に背を向けたままそれだけ言って、自分の部屋に戻って行った
僕はその背中を、ただ見つめることしかできなくて、マークヒョンの気持ちが痛いほどに分かってしまって。どうしたらいいんだ、僕。ジェボムヒョンと、マークヒョンと。
全部、僕には分かんないよ