宿舎に帰ると、メンバーが温かく迎えてくれた。弟たちは濁りのない笑顔で口をそろえて言う
「ジニョンヒョン、本当にカッコよかったです!」
僕は嬉しくて、思わず弟たちの頭を撫でた
でも、マークヒョンの姿は見当たらないまま。結局話すこともせず、気づけば日をまたいでいた。眠れなかった僕は、リビングに出て水を飲む
「いるんでしょう?気配でわかりますよ」
振り向かずに話しかける僕
そして唐突にマークヒョンは言う
「俺、ジニョンが好きだよ」
声だけで分かる、マークヒョンの表情、感情
僕はその告白に、まだ答えない
「マークヒョン」
背を向けたマークヒョンを呼び止める
驚いたように振り向いたヒョン
「何?」
「……僕がまだジェボムヒョンの事が好きだとしても、好きって言えますか」
すると間髪を入れずにマークヒョンは答える
「もちろん」
今までとは打って変わって綺麗な犬歯をのぞかせた。この優しい笑み。久しぶりに見た気がした。少しモヤモヤとした気持ちに襲われる
「そう……ですか」
自分から聞いたものの、何と返せばいいのか分からなかった
「そんな質問するってことは、俺も期待していいって事?」
マークヒョンは僕の方向に一歩踏み出す。自分でも分からない、何故こんな質問を投げかけたのか
「新しい恋をするのも、忘れるための一つの方法だって俺は思うけど」
マークヒョンの顔がどんどん近づいてくる
そして、耳元で囁いた
「好きになりかけてる?」
そんなはずはない、僕はまだジェボムヒョンの事が……なんて言えなかった。
それはもう忘れると決めたから
「別に」
昨日までの重いテンションはどこへ行ったのだろうか
「忘れられるよ、ジェボムの事」
ジェボム、という言葉にやっぱり反応してしまう。そしてちくりと痛む胸の奥
「俺を好きになればいい。いいよ、今はまだ無理しなくて。でも、絶対にジニョンは俺の事好きになるから」
今までのマークヒョンからは想像もできない発言。映画やドラマに出て来そうなフレーズ。なんとなくそのテンションに合わせてみようと思った。
「じゃあ期待してますね」
僕もマークヒョンもきっと本気で言ってるわけではないだろう。
「本気じゃないって思ってるかもしれないけど、俺は本気だから」
僕の感情を読み取ったのか、マークヒョンは言った。そして僕の頬に軽くキスをする
「じゃあおやすみ」
僕はキスされた頬をもう一度触る。触れられた感触がもう一度甦る。なんなんだ、もう……
ジェボムヒョンの事、いつになったら忘れられるかなんてわからないけど、ジェボムヒョンが幸せだったらそれだけで良いんだ。こうして僕はジェボムヒョンへの気持ちを閉じ込めた
そしてもう一度今さっきの出来事を思い出す
マークヒョンとの出来事を。
何で僕なのか分からない。本当に何でだろう。そんな感情を抱いたままベットに入る。
いつの間にか寝ていた僕。もう、ジェボムヒョンへの感情をリセットした僕
「おはよう、ジニョン」
マークヒョンは僕が起きるのを待っていたかのように、キラキラした目で僕を見つめる
「おはようございます、マークヒョン」
「ジニョン、好き」
そう言って、マークヒョンは僕に抱きつく
これからきっと毎日だろう。
いちいち動揺していたらキリがない。僕はその行動を流すことに決めた。
「ありがとうございます」
「もうちょっと反応してよ」
この時の僕は気づかない
少しばかりマークヒョンに心が揺れていることを
「ホントは少し嬉しいくせに」
それは誰も気づくはず、なかった
end